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zoom RSS 「数学の大統一に挑む」 エドワード・フレンケル(青木薫訳)

<<   作成日時 : 2016/05/09 23:36   >>

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本書のオリジナルタイトルは”Love and Math”、「愛と数学」である。その所以は最終章を読むとよく理解できるだろう。チューリングやワイルズといった気むずかしいイメージのある数学者と比較すると、著者は、本書のようなポピュラーサイエンスの本や、あるいは一般の人たちに数学の魅力を伝えるべく短編映画まで作ってしまうという点で従来の数学者のイメージからはかけ離れている。本書では、ラングランズ・プログラムという大きく異なる数学の領域をつなげるプロジェクトの魅力が分かりやすく語られる。しかしながら、コアの数学的な記述は筆者のような非数学者にはかなり厳しい。数式こそ殆ど出てこないものの、最初の分かりやすいたとえ話は、瞬く間に難解な概念の話へと飛躍してしまう。しかし、そんなことは著者も承知の上だろう。本書から伝わった力強いメッセージは以下のようなものである。

・物理学者が解明する新たな世界の解釈は、しばしば数学者がずっと前に到達していた世界である。しかし、数学の等しく重要な理論の全てが自然界にあらわれるわけではなく、そのうちの一部が対応しているという関係にある。
・数学の異なる領域同士、そして物理学との不思議なつながりは、プラトン的な数学の世界が人間とは独立して存在していることを示唆している。即ち、数学の知見は発明されるのではなく、発見される。

筆者は大学の早い段階で数学を真剣に学ぶことをやめてしまったことを後悔しているが、本書を読むとますますその念が強くなる。もう少し勉強していれば、もう少しリアルに本書を理解できたのではないかという意味で残念に感じた。一線の数学者が「プラトン的世界」の存在を肯定しているというのは、自然科学者全員への福音ではないだろうか。

本書の前半では旧ソ連におけるユダヤ人差別の実際が描かれている。数学に対する愛と希望の満ちあふれた本書であるが、前半部分があることによって深みが増している。何がどのように人生を左右するかは分からないものであるが、人の持つ信念や、求める心こそが大事であることが伝わってくる。そして著者をサポートする人たちの存在も興味深い。生命科学ではルイセンコ事件のような事例が有名であるが、一方では本書で紹介されるような露骨なユダヤ人差別もあったということは初めて知った。

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