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zoom RSS 「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」日野行介

<<   作成日時 : 2013/11/30 11:50   >>

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本書は、毎日新聞による福島県の県民健康管理調査に関するスクープ記事の背景を、当事者である記者がまとめた記録である。事実が淡々と記述されるため、スクープ記事そのものを超えるインパクトのある情報が含まれているわけではない。結果的に県民に対する背信行為になりかねない行動をどうして県の役人がやるのかという疑問が生じるが、一方で、もともと役人に県民に対する責任など始めからないのではということもいえる。反社会的な大企業に勤務する社員が勤め先の不正を告発する義務があるかといえば、もちろんそんなことはなく、ひとまずは自らやその家族が生活する方が重要である。するとなぜ福島県は反県民的なのかという疑問にたどり着くが、本書の射程はそこまでは延長されていない。

調査会において、打合せと称した秘密会が前振りとして存在することは結構一般的なことのように思われる。場合によっては事務局と一部の委員が会合し、アリバイ作りのために呼ばれている反対派の委員は蚊帳の外ということもよくある。今回は緊急性が高い分、根回しの時間が少ないことが、このようなスクープ記事に繋がったように思われる。客観的に見て、自治体や政府の調査の多くは最初に結論ありきである。その結論は科学的な調査に基づいているのではなく、極めて属人的で、重要なプレイヤーの主観的意見に左右される。科学的に調べて結果を見てから議論しようなどと言う爽やかなガチンコ勝負が行われることはまずない。

結論を誘導するために調査方法が決定されたり、評価者が選ばれたりする。このあたりも基本的に、役人や政策決定者の科学リテラシーが欠損していることが影響しているように思われる。本書の帯には「誰のための、何のための、調査なのか」とあるが、データを見て一番妥当な施策を考えようではなく、ある施策が決定したのでそれを補強したいという姿勢が基本にあるため、そもそも調査の位置づけも異なっている。山下教授の失言、「県は私にストーリーをもってこない」という言葉はこうした事情を能弁に物語っている。科学者として堕落した姿をそこに見ることができるが、そもそも医師なので科学者というクライテリアで語ることは不適切かもしれない。

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