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zoom RSS 「いかにして問題をとくか」G.ポリア(柿内賢信訳)

<<   作成日時 : 2012/01/28 18:12   >>

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「発見学」に軸足をおいた1945年の著作であり、翻訳者の熱意により国内での出版が実現した数学書とのことである。”How to solve it”が原題であり、(数学の)問題に対する解答にどのようにしてたどり着くのか、どうすればそのような発見に至るのかについて、数式ではなく「言葉」で説明されている。対象とする「問題」とは数学の問題であり、条件に対する考え方や利用の仕方などの制限は「数学」の枠内であるが、より一般的な意味での発想法、解法の糸口のつかみ方を議論している点が評価の高い所以と思われる。帯には「「“大人がハマる数学本”で大好評」という惹句とともに、本書がビジネスシーンにおける論理的な組み立てに役立つことが謳われている。しかしながら、巷で流行の「ロジカルシンキング」指南書として期待する読者は肩すかしを受けるだろう。本書は数学における発見、天啓がどのようにして生じるかを、誠実、丁寧に議論しており、ビジネスシーンですぐに役立つような即効性の助言を見出すことは難しい。警句や格言はたくさん盛り込まれているが、著者も解析しているように、それらは様々な思考を展開する能力をもつものにとっては「警句」であるが、ビギナーが同じように受け止めることができるわけではない。

「言葉」だけで(もちろん例題は数学的ではあるが)解説する数学書というのは極めて異例のことであるが、それは本書が有名になることに一役買っているだろう。本書を読むと、高度な数学教育(といっても数学という学問の中では入門的なもので、理系の大学教育の前提レベルとして考えられるもの)を受けることが如何に大事で、かつ実際にはそういう機会が貴重であるかを改めて認識することができる。東大京大レベルの学生であれば、受験勉強において数学に取り組み、程度の差こそあれ、本書で述べられているポイントについては、何度も問題を解くことを通じて実感しているだろう。逆に本書で述べられている内容を実感できない、あるいは本書の解説に感銘を受けるようであれば、それは暗記的に受験数学を乗り切った人たちであろう。数式を用いて数学の世界にどっぷり浸かったものであれば、本書で言葉を使って説明されていることは、いずれも思い当たる、あるいは解答の際に無意識に実践していることばかりであろう。そしてそれがうまくできなかったときには、数学の師や、あるいは「大学への数学」のようなガイドに従い、それらを乗り越えてきただろう。本書で言葉を用いて説明されることにより、改めて自分がそのような思考様式を採用していたことに気づくはずである。本書が好評であるということは、残念なことにそうした数学教育を受ける機会がなく、そのような思考様式に親しむ機会のなかった人が多いことを端的に表しているように思う。また、世の中の数学書の多くが、いかに学習者の気持ちに配慮できていないかをもまた表している。

歴史のある本書であるが、大増刷されているようである。出版社は訳文を見直したり、あるいは参照箇所のページを記入したりという工夫をもう少し付け加えてもよいのではないだろうか。本書の構成はおそらく非常に読者に親切な設計がされているように思えるのであるが、訳書はそうではなく、本書の別の箇所を適切に参照しながら読み進めるのはかなり面倒である。

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