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zoom RSS 「生物多様性とは何か」井田徹治

<<   作成日時 : 2010/10/07 23:31   >>

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著者は共同通信の科学部の記者で、地球温暖化や地球環境をテーマとした著書がある。本書は昨今話題になっている「生物多様性」についての取材をまとめたものであり、どうして生物多様性を維持していく努力が必要なのか、今後の見通しはどうなのか、現在どのような取り組みが行われているのかという項目が手際よく解説されている。「生物多様性」問題の入門として非常に役立った。個々の事例を見ると、様々なレベルの取り組みがあることが理解できる。一方で、巨大な熱帯雨林の消失といった問題とある特定の種を保存する取り組みとを比較するとあまりに大きな落差があり、一つの絶滅危惧種を特別に救い出すことに大きな意味があるのだろうかという疑問も生じた。多様性が維持される環境を保全することは大変重要であるが、一方で個々の種に対する特別な保護は少々人間のセンチメンタリズムのようにも見える。

本書では世界各地における多様性の破壊が描かれるが、少なからず日本の企業が登場していることも見逃せない。とりわけ非難されているわけではなく、淡々と描かれているが、最終章にも述べられているように現代人が「生物多様性」の問題と無関係にいることは不可能である。知らず知らずのうちに多様性の破壊に手を貸しているという事実がよく分かるエピソードを読むことができる。生物多様性の問題が難しいところは、地球環境から富を生み出す大企業の活動と、環境が損なわれることにより実害を被る人たちが、空間的にも時間的にもずれてしまっている点にある。総和としては人類の生存、継続にマイナスにしかならない開発であっても、一時的に得をするのであればやりたいという欲望をどう世界的にコントロールするのかという問題である。里山の維持で見られる、今植える木は子孫のものという意識が、世界的に浸透しないことには将来は明るくないだろう。

それにしても、カーボンオフセットといい、英米の指導層はどこまでも自己中心的であり、世界にとってはウイルスのような存在である。彼らの築いた富こそが、時間差を作ることで世界中からかすめ取ったものであるにも関わらず、まさに20世紀から急に環境問題が生じたような顔をして、これから発展しようという工業国の上前をはねる理屈を作るのに必死になっている。もちろん、これからは環境問題や生物多様性の維持を重視した活動が等しく誰にも要求されるわけであるが、彼らがこれまで蓄えた資金を地球へ返還するというアイデアは出ないのだろうか。「地球温暖化」といい「生物多様性」といい、もっともらしい理屈をこねて、またもや金儲けのタネにしようという姿勢には、いい加減周囲がNOという意思表示をすべきではないだろうか。

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