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zoom RSS 「大学「法人化」以後‐競争激化と格差の拡大」中井浩一

<<   作成日時 : 2009/02/14 00:24   >>

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タイトルの通り、法人化以降の大学をテーマとして、いくつかの切り口から取材を行っている。論文捏造というセンセーショナルなテーマに始まり、産学連携、教育大学、附属病院・医学部、そして最後に地方大学という順で話題が進む。やや性急な文章は荒削りであるが、その分情報の密度は濃い。「法人化」された大学は当然国立大学が中心であり、科学研究費補助金(科研費)を始めとする競争的資金の配分の偏りを考慮すれば、本書で問題となるのは地方の国立大学である。本書は地方国立大学の抱える問題を最終的に分かりやすく読者に理解させるために、非常に巧みな構成で話を進めている。

科研費のような競争的資金の獲得状況をもとに、完全に自由競争にして資金配分を行えば、全国の国立大学のうち1/3程度しか生き残れないという文科省の試算は、対財務省へのアピールという面はあるものの衝撃的なデータであった。著者が最終章でいらだつように、当時から現在まで本質的な議論は少しも進んでいないところに大いに不安を感じさせられた。結局、高等教育に関する議論は殆どないまま、全く関連のない別の理由で政治的に決着が付けられてしまう、そんな危惧すら感じられる。

岩手や山形の先駆的でユニークな試みや岐阜大学の例は、地方国立大学の行く末を占う上で明るい材料のようにも見えるが、一方でその程度の改善規模ではびくともしないような産業規模の衰退が地方をおそっている。金融危機以降、さらに資金の調達は難しくなっており、国立大学法人は再びお上の威光を気にする「甘えた坊や」に成り下がる可能性も懸念されている。地方において高等教育はどのようなニーズがあり、またどのように地方の活性化に繋がるのかといった将来像を描くことができるかどうかが分かれ目となるだろう。地方の疲弊と呼ばれる状況の改革に大学がどのように役に立てるか、今後も新たな取り組みに注目していきたい。

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