テーマ:社会

科学者の退廃

科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)の長はノーベル賞受賞者である野依良治氏である。以下は2016年7月の「持続可能な開発目標(SDGs)と科学技術イノベーション」の基調講演である。 http://scienceportal.jst.go.jp/columns/highlight/20160804_01.ht…
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「研究不正―科学者の捏造、改竄、盗用」 黒木登志夫

本書は、科学研究における不正行為を数々の実例を取り上げながら紹介している。取り上げられている領域は、著者の専門性に基づき生命科学、および医学研究中心であるが、インパクトの大きな事例として、考古学(ピルトダウン人事件、旧石器捏造事件)や実験物理学(ベル研究所における研究不正)といった分野にも言及している。実験科学、特に生命科学における研究…
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「昨日までの世界―文明の源流と人類の未来」ジャレド・ダイアモンド

著者は「銃・病原菌・鉄」や「文明崩壊」といった著書で有名な研究者であるが、その取り扱う領域は広大であり、学問の専門化が著しい近年にあってそのパースペクティブの大きさは特筆すべきである。本書はその中でも著者のフィールドワークの世界と近い内容であり、経験談もしばしば登場する。タイトルにもあるが、先進国の人々が現在享受している文明やライフスタ…
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「背信の科学者たち」ウィリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド

本書はしばらく前まではブルーバックスから刊行されていたが、絶版状態であった。理研や分生研、医学部を舞台とした論文捏造事件が相次いで報道された本年、まさにタイムリーな再刊といえるだろう。帯にもあるが、大阪大学の仲野先生が強く推薦したこともweb では話題になった。本書は科学者のミスコンダクトを考える上では類稀な事例集となっているが、一方で…
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小保方問題についての早稲田調査委員会の報告書の説明:研究者の厳しい見方の背景にあるもの

早稲田大学の調査委員会の報告書については多くの研究者と同様、大きな衝撃を受けた。何も書く気が起こらないくらいのインパクトがあったが、酷い酷いと嘆いているのは生産的ではないだろう。過疎ブログであるが、少しでも一般向けに補足説明ができると良いと考えているので、参考にしていただければ幸いである。ここでは既にネットで多数指摘されている、この判断…
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「木を見る西洋人 森を見る東洋人 思考の違いはいかにして生まれるか」リチャード・E・ニスベット

自然科学を研究し、日々西洋人と論文や研究成果をめぐり議論する東洋人にとって本書が取り上げるテーマは極めて身近なものであろう。要素還元的な自然科学の手続きは西洋人にとってはごく自然な思考の方向性であるが、一方で東洋人にとっては一定のエネルギーを注ぐ必要のある意識的な作業である。東洋人の研究スタイルの中には、色々トライしてみて、全体像から仮…
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「予想通りに不合理」ダン・アリエリー

本書は、行動経済学分野において活発に発信しているダン・アリエリーのおそらく最も有名な著作である。原タイトルはThe Hidden Forces That Shape Our Decisionsであり、古典的な経済学が想定していた「合理的な人間」を否定するだけではなく、人間の判断の不合理さの背後に存在するメカニズムについても議論されている…
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基礎研究の公共性:STAP事件対応の問題点

王や貴族といった特権階級がパトロン的に支援してきた時代とは異なり(ゲイツ財団はこれを想起させるが)、現代の基礎研究は多くの国民の支援により成立している。統計によって数字は異なるが、自由主義経済を標榜するアメリカですら基礎研究については連邦政府が最大のスポンサーであり、税金抜きの基礎研究はあり得ない。例えば、医薬品開発はメガファーマとよば…
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生命科学におけるソーカル事件?

今回のSTAP細胞事件は論点が多すぎて、まるで生命科学のかかえる問題点を整理するために生じたかのような印象をもった。科学者と一般社会との乖離がこのような形で表面化した事件はこれまでなかったのではないだろうか。科学者の視点からは、STAP細胞騒動は既に終わっていて、社会的にどのような形で決着が図られるかのみが関心となっている。国会において…
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「ガセネッタ・シモネッタ」米原万里

著者は有名なロシア通訳者であるとともに、ユーモアのあるエッセイの作者として多数の作品を世に送り出している。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」は著者がプラハのソビエト学校に居た頃の友人を再訪するという話であるが、否応なく大きな歴史の波にのまれていく個人の人生が見事に描かれている。ユーモアは著者の重要な特質であるが、それにしても本書はタイトル…
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「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」日野行介

本書は、毎日新聞による福島県の県民健康管理調査に関するスクープ記事の背景を、当事者である記者がまとめた記録である。事実が淡々と記述されるため、スクープ記事そのものを超えるインパクトのある情報が含まれているわけではない。結果的に県民に対する背信行為になりかねない行動をどうして県の役人がやるのかという疑問が生じるが、一方で、もともと役人に県…
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「宇宙はなぜこのような宇宙なのか―人間原理と宇宙論」青木薫

翻訳家として数々の素晴らしい作品を紹介している著者の書き下ろしということで、感謝の気持ちも込めて購入。人間原理をめぐる議論は日本人には些か分かりにくい。西洋人は正負の両面で神の問題から逃れることが難しいために、本書のテーマである人間原理についての議論は複雑な展開を見せるが、日本人にとって多宇宙ビジョンは実は「しっくりくる」説明ではないか…
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「ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?」ダニエル・カーネマン

生物としての特性をもつヒトと、社会的な存在である人間との間の齟齬は、科学的な研究の対象として極めて興味深いテーマであるとともに、これからの社会をどう良くしていくかを考える上での大きなヒントとなるテーマである。本書はそうしたことを考える上での入門となる名著といえるだろう。 内容は一般向けにかみくだいた説明となっており、門外漢が読んで…
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「科学嫌いが日本を滅ぼす―「ネイチャー」「サイエンス」に何を学ぶか」竹内薫

本書は新潮45の連載原稿をもとに加筆修正されたものとのことであるが、単行本化にあたり順序の入れ替え等の編集が施されているため、各項目は比較的まとまった内容の論説になっている。出版社と科学者の間のジレンマの一つは、その本をどう売るかという方向から生じる問題であり、著者の意図しないタイトルが付けられることや、あるいは帯でミスリーディングが与…
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「サイエンティフィック・リテラシー―科学技術リスクを考える」廣野喜幸

タイトルはむしろ副題の方が良く内容を表していて、筆者も本文中で述べているようにリスク論入門として読むとしっくりくる。科学リテラシーというと必ずしもリスク論にとどまらないので、これは出版社のミスリーディングかもしれない。帯には「いかに科学の知識・教養を身に付け、集めた科学情報からいかに物事の本質を見ぬけばいいのか?」とあるが、新書であれば…
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「教室内(スクール)カースト」鈴木翔

学校の様子は子どもたちから伝え聞く程度であり、都市と地方ではある程度構図も異なることが予想されるが、最近の学校はどうなっているのだろうという関心で手に取ってみた。古市憲寿さんの著作のように本田由紀さんの解説付きである。大学院生としての研究が母体となった新書であるが、学術的にシャープな記述は抑えられている。アンケートやその統計学的な処理、…
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「足利義政と銀閣寺」ドナルド・キーン

現代の日本人と連続性がある時代、例えばそれは現代人がその時代に放り込まれたとしてどの程度違和感を感じるかという意味であるが、それは東山文化以降というのが歴史家の間ではおおよそのコンセンサスらしい。確かに慈照寺(銀閣寺)を訪れる日本人の多くはそのたたずまいに懐かしさを感じるだろう。本書は、応仁の乱の原因となり政治家としては最低ランクの評価…
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「武器としての決断思考」瀧本哲史

2012年のジュンク堂本店売上1位という帯にひかれて購入(なお2, 3位はワンピースらしい)。決断思考というタイトルから、決断に至るロジックについて書かれた本ではないかと想像したが、読んでみると主な内容はディベートについてのものであった。著者は東大法学部を卒業後、直ちに助手となり、その後マッキンゼーに転職、3年後に独立という経歴で、現在…
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「知の逆転」吉成真由美編

本書はサイエンスライターである吉成真由美さんが、ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンという錚々たる顔ぶれにインタビューした内容をまとめたものである。現代最高の知性にある程度共通した問題意識をぶつけていくという構成上、個々の人物に関心の深い読者にはあっ…
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「これから「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学」マイケル・サンデル

メディアミックス的な盛り上がりで大いに話題になったサンデル教授の著作をKindle本で発見して購入した。NHKで取り上げられ有名になった講義スタイルは、国内でも真似をする教員が後を絶たず、学生にとっては大いに迷惑であったに違いない。基本的に討議スタイルで講義を行うためには、受講者も相当なインプットが必要とされるとともに、講師はさらにそれ…
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「日本人の人生観」山本七平

司馬遼太郎の日本人論は、著者があるべきと考える日本人像が多分に投影されていて、日本人のこれまでの営みとはどんなものであったかを考える上ではバイアスが大きい。読者である日本人には心地よいところもあるが、しばしば大きな錯覚を招く。山本七平の著作には批判も多いようであるが、戦争を挟んで日本人において何が変わらなかったかを考察する本書の指摘には…
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自滅する生命科学:研究資金配分が誘導する研究コミュニティの崩壊

山中先生のノーベル賞受賞とほぼ同時に起こったiPS細胞をテーマにした森口さんの事件は、興味本位の話題を新聞やテレビに大量に提供してしまったために、iPS細胞という研究成果が社会に与えるインパクトや課題についての議論を置き去りにしてしまった。当人のキャラクターがあまりにテレビ向きで面白かったことが関心を引いているようであるが、既に明らかに…
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「適正技術と代替社会―インドネシアでの実践から」田中 直

著者は東京大学工学部卒業後、石油会社で精製プロセスの業務に関わる傍らインドネシアでの国際協力活動に参加し、その後設立されたNGOでは最終的には石油会社を退職して専従として、本書で取り上げられる適正技術の開発に取り組んできた。「適正技術」とは何だろうと考えて本書を手に取ったが、こうした考え方は人類の将来を考える上で大変重要なコンセプトであ…
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「働かないアリに意義がある」長谷川英祐

しばらく前に話題になった本書を読了。多くの一般の読者は、アリやハチといった真社会性生物のエピソードを読んで、否が応でも人間社会を想起してしまうだろう。著者も所々に人間社会との相似性を盛り込んでくるので、そのような印象を持つことは避けられない。著者が実際には基礎生物学の研究を進めながら、人間社会との関連性に言及するところに科研費を始めとす…
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「医学と仮説」をめぐる意見交換について

前の記事で「医学と仮説」を取り上げたが、その後本書をめぐって興味深い意見交換が科学哲学者と著者の間で行われていることを知った。 川端裕人さんのブログ:コメント欄で意見交換の行われたブログ(本文は本書の紹介と推薦) 伊勢田哲治さんのブログ:「つっこみ」と称して問題点が列挙されている その1 その2 その3 自然科学…
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「サイエンス入門Ⅱ」リチャード・ムラー

Ⅱではいよいよ光や量子物理学、相対性理論が取り上げられる。また気候変動についても一章が割かれており、科学者がこの問題をどう認識、評価しているかというプロセスを垣間見ることができる。本書で取り上げられる項目はⅠに負けず劣らず、現代社会を支えるテクノロジーと密接な関係をもつ。一方で、量子物理学が記述する奇妙な世界は、著者の力量をもってしても…
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「大人の友情」河合隼雄

「大人の友情」の様々な形が取り上げられ、それについての著者の解説が付されている。刎頸の友や菊花の契り、あるいは走れメロスといった創作における友情は誰しも一つの理想型として想起するものであるが、実際に多くの人が経験する友情はより複雑でほろ苦いものも多い。実り多い友情を得るためには、友情関係に埋没するわけでもなく、一方であるときには心を預け…
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「「しがらみ」を科学する」山岸俊男

若者やあるいは百戦錬磨の老人にとっては本書の評価は容易なのかもしれないが、中間的な年齢層の読者にとっては何とも評価が難しい。若者向けのプリマー新書なので、著者の語り口も自由であるが、冒頭のエピソードなどは全体の中ではちょっと浮き上がっているし、「意欲的に語ってやろう」という意識が強すぎるように感じられた。語り口調もばらばらで、急になれな…
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「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」山本義隆

著者は科学史においていくつか重厚な作品を著しており、日本人と科学の関係を考える上で興味を持っているが、なかなか手を付けることができないでいる。一方で、著者は東大全共闘議長としてもよく知られているが、全共闘という運動そのものが私の世代にとっては理解が困難であり、著者本人に関しても全共闘に関わる情報発信は直後のもののみで、科学史家としての活…
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「明日をどこまで計算できるか?―「予測する科学」の歴史と可能性」デヴィッド・オレル

本書のもともとのタイトルはApollo's Arrowというものであり、その意味は予測の科学の歴史の中のエピソードとして登場する。洒落た原題と比べると翻訳は説明的であるが、本書の内容を過不足なく示している。冒頭からしばらく続く歴史の部分は些か退屈な記述もあるが、ケプラーの美しい法則ですら本人は楕円を採用しなければならないことに対して不満…
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