テーマ:文学

「生きるとは、自分の物語をつくること」小川洋子、河合隼雄

作家の小川洋子さんと河合先生の対談集であるが、残念なことに河合先生の死により予定より短い内容となってしまっている。その代わりに、追悼を含む長い後書きが追加されている。著者には「科学の扉をノックする」という対談集もあるが、そこには「おやがみさま」をSomething Greatと言い換えて布教活動を続ける著名な科学者である村上先生が含まれ…
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「人間臨終図鑑1,2」山田風太郎

著者が選んだ古今東西の人物を死亡時の年齢順に並べて、その死に際の様子を描いた異色の読み物である。世間での評価が高いことから読んでみることにした。自分自身が人生の折り返しを過ぎて、そろそろ終末についても関心が湧いてきたという理由もあるかもしれない。著者の小説については殆ど知らないが、エッセイについては非常に巧みで、読者を引き込む文章の力が…
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「水滸伝の世界」高島俊男

水滸伝と言えば、個人的には横山光輝の漫画の印象が強い。何度も読み返したせいか、本書を読んでもそれぞれの豪傑の絵姿が思い浮かぶことには驚いた。著者は在野の中国文学者で、週刊文春の「お言葉ですが・・・」の連載で有名である。「お言葉ですが・・・」の連載を呼んでいた頃は、著者が在野の研究者であるとは知らなかったが、何となくいい意味でも悪い意味で…
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「アホの壁」筒井康隆

著者の小説は中高生の男には強い引力があり、それこそ貪るように読んだ覚えがある。SFというジャンルでくくるにはあまりにも強烈な作品もあれば、一方では「七瀬」シリーズのような作品もあり、長い間お世話になった。私が読み始めたときには、初期の傑作群は全て文庫化されており入手しやすかったことも大きかった。断筆宣言までは書き下ろしも読むようにしてい…
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「生きる技術は名作に学べ」伊藤聡

「空中キャンプ」というブログで有名な著者による読書ガイドであるが、そのチョイスはいわゆる世界の古典文学に限定されている。「初恋」や「月と六ペンス」、「魔の山」あたりは最近ではあまり言及されない作品のように思うので新鮮な印象がある。デビッド・ボウイのインタビューを読んで、「魔の山」を読み始めたものの、非常に退屈で投げ出しそうになったことを…
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「ユング心理学入門(心理療法コレクションⅠ)」河合隼雄

著者の晩年といえる時期の著作は一般の読者に分かりやすい表現で著されているが、そうした表現の奥にどのような思想が隠れているかについては逆に難解に感じられることが多い。それらと比較すると本書は初期の著述であり、著者の問題意識が明瞭に示されている。学問的な厳密性を失わないよう留意された抑制された表現ではあるが、著者が心理学のどの領域を取り扱い…
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「日本人と日本文化」司馬遼太郎、ドナルド・キーン

司馬遼太郎は本書でも自ら述べているように、その作品は小説でもなく研究論文でもない。全体としてはフィクションであることは明らかなのであるが、史実をもとにしており、さらに著者が本文に登場して解説を加えたりする。こうした構成が与える効果は抜群であり、読者は極めて情緒的な形で(ストーリーの力で)著者の文明論なり歴史観を読まされることになる。「街…
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「文学部唯野教授」筒井康隆

岩波現代文庫に収載された機会に読んでみようと手に取ったのだが、一度読んでいたことにしばらくして気づいた。当時は確かに話題の作品であり、サブテキストというか、唯野教授ネタで何冊か出版されていたように思う。著者はサービス精神旺盛なので、唯野教授のキャラクターを出し惜しみしなかったのだと思う。本書は人文系の学問が抱える問題を分かりやすくエンタ…
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「シカゴ育ち」スチュワート・ダイベック

帯の翻訳者の柴田元幸の絶賛に促されて購入。著者のアンソロジーを読むのは初めてである。著者の表現力には素晴らしいものがあり、美しく幻想的な描写がふんだんに表れるが、描かれているものそのものは決して美しいものばかりではない。「ファーウェル」や「冬のショパン」、「荒廃地域」のような作品では、淡々とした描写のうちに、少年の成長とマイノリティの悲…
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「「闇の奥」の奥‐コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷」藤永茂

コンラッドの「闇の奥」は、コッポラの「地獄の黙示録」の原作として有名であるが、小説そのものも古典として位置づけられており、大学時代の英文学の講義で原文を読んだ経験のある人も多いことと思う。タイトルから、歴史的な事実とコンラッドの著作との関係を探った研究書と予想していたのであるが、内容としては「闇の奥」のテキストを読み込むようなものではな…
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「幽霊たち」ポール・オースター

「ムーンパレス」が面白かったので、さらに著者の昔の作品を読んでみることにした。数少ない登場人物は全て色の名前で呼ばれ、映画的な洗練された描写は非常にスタイリッシュな小説であると感じさせる。確かに80年代の小説ではあるのだが、非常に狙いのはっきりした、悪い言い方をすれば小説家志望のアマチュアが書いたようなプロットである。もちろん、著者の文…
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「漱石‐母に愛されなかった子」三浦雅士

「母の愛を疑う」という軸から漱石を捉えた夏目漱石論。漱石の生い立ちに不幸な養子関係があることはよく知られた事実であり、そこから漱石の性格形成を論じた漱石論は数多くあるが、冒頭の一点を軸に生涯の作品を読み解いたという試みは希有のものである。あとがきによると、独特の語りかけるような、口述を思わせる文体は著者の工夫であり、内容をより読者に理解…
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「ムーンパレス」ポール・オースター

ポール・オースターの本を読むのは初めてであり、翻訳者が柴田元幸というところに目がいかなければ、さらに読む機会が遅れたように思う。殆ど予備知識らしいものもなく(柴田訳というのは大きなヒントかもしれないが)、この作品に当たれたことは幸運だった。自分も子どもをもつようになって、ようやく親子関係を双方から見ることができるようになってきた。さらに…
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「ニーチェ‐ツァラトストラの謎」村井則夫

ニーチェの有名な「ツァラトストラはこう語った」を読み解く試みが行われている。もう記憶の彼方になってしまっているが、これまでの解説書と比べると格段に読みやすい印象がある。哲学においても、若い世代の著者の著したものは一般に読みやすい傾向があるように思う。書いている本人にもうまく説明できないのではないかと思われるような、正体不明の記述が駆逐さ…
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「ドストエフスキー 謎と力」亀山郁夫

「カラマーゾフの兄弟」の新訳がベストセラーとなり、現在は東京外語大学の学長を務める著者によるドストエフスキー案内が本書である。ドストエフスキーは未読なので、そもそも書評をする資格はないが、未読の人間には非常にありがたいガイドブックである。口述筆記をもとにしているため、荒削りな部分も多いが、独特の熱気を醸し出すことに成功しており、ドストエ…
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