「足利義政と銀閣寺」ドナルド・キーン

現代の日本人と連続性がある時代、例えばそれは現代人がその時代に放り込まれたとしてどの程度違和感を感じるかという意味であるが、それは東山文化以降というのが歴史家の間ではおおよそのコンセンサスらしい。確かに慈照寺(銀閣寺)を訪れる日本人の多くはそのたたずまいに懐かしさを感じるだろう。本書は、応仁の乱の原因となり政治家としては最低ランクの評価を受けている足利義政こそが、現代に続く日本文化のイニシエーターの一人として極めて重要な役割を担ったことを分かりやすく紹介している。明の影響のもとにあった絵画や漢詩、一種の機知を競う遊びから文化に昇華しつつあった連歌、能、作庭、生花、そして茶の湯といった侘び寂びと呼ばれる文化的な指向が、いずれもこの時期に義政のもとで成長していたという指摘はなるほどと思うところが多い。中国風の文化を一つの理想像としながらも、一方で日本独特の美意識とは何かを突き詰めていったときに生じた東山文化は、中心人物である義政を無視しては理解することはできないだろう。

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