「日本人の人生観」山本七平

司馬遼太郎の日本人論は、著者があるべきと考える日本人像が多分に投影されていて、日本人のこれまでの営みとはどんなものであったかを考える上ではバイアスが大きい。読者である日本人には心地よいところもあるが、しばしば大きな錯覚を招く。山本七平の著作には批判も多いようであるが、戦争を挟んで日本人において何が変わらなかったかを考察する本書の指摘には参考になるものがたくさんあった。

教育における暗記の重要性:人間の発想は背景にある知識に規定されるのであるから、インプットはアウトプットの前提である。アウトプットだけを奨励しても空虚な情報が増えるだけである。

日本人における「自然」:日本人は基本的に「する」ことより「なる」ことを好ましいと考える。「作為」は悪い意味を含むことが多い。

歴史の捉え方:日本人は環境への適応が抜群に得意であり、自然の変化に翻弄され、それに適応する人間像を好ましい存在とすることから、歴史を細かに記録して自らの羅針盤としようという考えをもたない。歴史的にはつい最近の日本人が何を考えていたかですら、日本人の残す資料からでは想像することが難しい。

階層的集団主義:キリシタンの宣教が禁止されたのは、個人が神との間で一対一の関係を結ぶ点が問題であるとされたためである。日本人は家庭から組織に至るまでそれぞれの階層において、神に相当する存在があり、それに対する帰依をすることで秩序が維持されている。即ち個人が宗教的意識をもつことは基本的には許容されない。

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