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みんなの「教育」ブログ

タイトル 日 時
科学者の退廃
科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)の長はノーベル賞受賞者である野依良治氏である。以下は2016年7月の「持続可能な開発目標(SDGs)と科学技術イノベーション」の基調講演である。 ...続きを見る

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2017/01/13 11:34
「数学の大統一に挑む」 エドワード・フレンケル(青木薫訳)
本書のオリジナルタイトルは”Love and Math”、「愛と数学」である。その所以は最終章を読むとよく理解できるだろう。チューリングやワイルズといった気むずかしいイメージのある数学者と比較すると、著者は、本書のようなポピュラーサイエンスの本や、あるいは一般の人たちに数学の魅力を伝えるべく短編映画まで作ってしまうという点で従来の数学者のイメージからはかけ離れている。本書では、ラングランズ・プログラムという大きく異なる数学の領域をつなげるプロジェクトの魅力が分かりやすく語られる。しかしながら、コ... ...続きを見る

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2016/05/09 23:36
基礎研究の公共性:STAP事件対応の問題点
王や貴族といった特権階級がパトロン的に支援してきた時代とは異なり(ゲイツ財団はこれを想起させるが)、現代の基礎研究は多くの国民の支援により成立している。統計によって数字は異なるが、自由主義経済を標榜するアメリカですら基礎研究については連邦政府が最大のスポンサーであり、税金抜きの基礎研究はあり得ない。例えば、医薬品開発はメガファーマとよばれる巨大企業が主導するものと一般に考えられているが、創薬のタネの殆どはNIHに支援された研究から生み出されている。基礎研究はすぐには経済的な効果を発揮しないことが... ...続きを見る

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2014/05/11 11:01
生命科学におけるソーカル事件?
今回のSTAP細胞事件は論点が多すぎて、まるで生命科学のかかえる問題点を整理するために生じたかのような印象をもった。科学者と一般社会との乖離がこのような形で表面化した事件はこれまでなかったのではないだろうか。科学者の視点からは、STAP細胞騒動は既に終わっていて、社会的にどのような形で決着が図られるかのみが関心となっている。国会において理研の野依理事長が、「(あなたたちが喧伝した)STAP細胞はあるのか?」と長妻議員に質問され、「あるかどうかは第三者の研究による証明が必要で、理研も引き続き調べる... ...続きを見る

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2014/04/22 00:10
「ガセネッタ・シモネッタ」米原万里
著者は有名なロシア通訳者であるとともに、ユーモアのあるエッセイの作者として多数の作品を世に送り出している。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」は著者がプラハのソビエト学校に居た頃の友人を再訪するという話であるが、否応なく大きな歴史の波にのまれていく個人の人生が見事に描かれている。ユーモアは著者の重要な特質であるが、それにしても本書はタイトルで損をしている。国際的に通じる人材をどのように育成するべきなのか、あるいは国語とはなぜ重要なのかということが、著者の経験をもとに説得力のある議論として提示されてい... ...続きを見る

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2014/01/05 16:49
「東大理系教授が考える道徳のメカニズム」鄭 雄一
タイトルは出版社のアイデアなのかもしれないが、人文系の学者への配慮が逆効果をあげているようで、むしろ目を引くことになっている。著者は東京大学医学部出身で研究の展開により現在のポジションにいらっしゃるようなので、一般の方が「理系教授」として思い浮かべる人物像とはあるいは異なっているような気もする。本書は「人殺しはどうしていけないのか」という古くから取り上げられてきた哲学的な問いについて、自らの子どもたちを相手に分かりやすく議論するという内容である。理系らしさというのは議論の展開の方法に特に表れてい... ...続きを見る

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2013/08/14 00:22
「教室内(スクール)カースト」鈴木翔
学校の様子は子どもたちから伝え聞く程度であり、都市と地方ではある程度構図も異なることが予想されるが、最近の学校はどうなっているのだろうという関心で手に取ってみた。古市憲寿さんの著作のように本田由紀さんの解説付きである。大学院生としての研究が母体となった新書であるが、学術的にシャープな記述は抑えられている。アンケートやその統計学的な処理、そしてそれらに対する解釈といった手続きについては大幅に割愛されており、読者は筆者のコメントを何となく信じながら読み進めるしかないところに些かもどかしい印象をもった... ...続きを見る

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2013/07/21 11:01
「武器としての決断思考」瀧本哲史
2012年のジュンク堂本店売上1位という帯にひかれて購入(なお2, 3位はワンピースらしい)。決断思考というタイトルから、決断に至るロジックについて書かれた本ではないかと想像したが、読んでみると主な内容はディベートについてのものであった。著者は東大法学部を卒業後、直ちに助手となり、その後マッキンゼーに転職、3年後に独立という経歴で、現在の肩書きは「京都大学客員准教授、エンジェル投資家」とのことである。この10年くらいで目立つ知的エリートのキャリアの典型の一つである。京大の担当講義は大変な人気講義... ...続きを見る

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2013/06/30 16:19
「統計学が最強の学問である」西内啓(Kindle版)
統計学の成果は様々なwebサービスで活用されており、Googleやマイクロソフト、AmazonといったIT企業が近年、注力していることはよく知られている。IBMがSPSSを買収した事件も当時はいろいろ議論があったようであるが、現在、その判断について疑問を挟む人は少ないだろう。一方、国内で統計学がどのような取り扱いを受けているかを振り返ると、世界的に見てとりわけ日本において大きな認識不足があるように思われる。マーケティングのような分野ではその有用性が認識され始めているようであるが、本来の統計学の力... ...続きを見る

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2013/02/18 23:47
「ノモンハンの夏」半藤一利
第二次大戦前の満州国とモンゴル人民共和国の国境紛争であるノモンハン事件は、実質的には関東軍とソ連軍との局地戦であり、兵站の重要性の認識が勝敗を決したと考えられている。本書は司馬遼太郎と共に取材をした著者が執筆したもので、戦争そのものの描写はごく控えめであるが、関東軍及び陸軍の高級将校達が状況をどのように認識し、実際にどのように行動したかについては日記等の資料や存命者への取材をもとに細かく描かれている。当時のエリートの限界という見方もできるのかもしれないが、本質的な指導者の問題点そのものは現在もな... ...続きを見る

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2013/01/31 22:32
「科学的とはどういうことか」板倉聖宣
本書は朝日新聞社の教育雑誌に連載されていた原稿がもとになって編集されたとのことで、1977年以来68,000部が刊行されている。何となく挿絵に見覚えがあるような気もするので、これまでにどこかで記事を読んでいたのかもしれない。本書は学校図書館協議会選定の必読図書(高等学校向け)に指定されているそうであるが、仮説社というところから出版されており、一般の書店で見かけることは少ない。仮説社はホームページをご覧いただければよく分かるが、本書に見られる「やってみよう」指向の「科学」にふれる機会を提供している... ...続きを見る

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2013/01/19 23:06
「主体性は教えられるか」岩田健太郎
「バイオテロと医師たち」の最上丈二が本書の著者であることは後に知ったが、若手が新書を書くことのリスクは医学部の場合はより大きいのかもしれない。神戸大学の教授としてポジションが確立されてからは、本名で数多くの著作が出版されている。デビュー作から相当幅広い関心をもった医師であることは伺えたのであるが、次第に著作の内容も自由度が上がっているようである。「予防接種は効くのか?」は非常に興味深く読んだが、本書は語りの洒脱さとは裏腹に読み進めるのがつらいところもあった。「科学者の養老化」とでもいえば良いのだ... ...続きを見る

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2012/10/20 23:05
「医学と仮説」をめぐる意見交換について
前の記事で「医学と仮説」を取り上げたが、その後本書をめぐって興味深い意見交換が科学哲学者と著者の間で行われていることを知った。 ...続きを見る

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2012/10/04 00:27
「医学と仮説―原因と結果の科学を考える」津田敏秀
未知の課題にどのように取り組むかというアプローチの問題は、自然科学の研究者が受ける訓練のメニューとしては最も重視される項目といって良いだろう。しかしながら、大きな意味ではそのアプローチの方法は自然科学者のみが通暁していれば良いというものではなく、文理問わず多くの人が身につける必要があるということを折に触れ述べてきた。本書は官僚や裁判官といった文系の知識人における誤った思考プロセスを指摘するばかりでなく、医学者、あるいは科学者と呼ばれる人材においても同様の深刻な間違いを犯すことがしばしばあることを... ...続きを見る

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2012/09/17 22:09
「大人の友情」河合隼雄
「大人の友情」の様々な形が取り上げられ、それについての著者の解説が付されている。刎頸の友や菊花の契り、あるいは走れメロスといった創作における友情は誰しも一つの理想型として想起するものであるが、実際に多くの人が経験する友情はより複雑でほろ苦いものも多い。実り多い友情を得るためには、友情関係に埋没するわけでもなく、一方であるときには心を預けることもある、そんな心持ちが必要ということなのだろうか。子ども時代の気持ちでもって大人の友情を捉えることは難しいし、一方で子ども時代の友情も振り返ってみれば物語の... ...続きを見る

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2012/08/14 11:20
「「しがらみ」を科学する」山岸俊男
若者やあるいは百戦錬磨の老人にとっては本書の評価は容易なのかもしれないが、中間的な年齢層の読者にとっては何とも評価が難しい。若者向けのプリマー新書なので、著者の語り口も自由であるが、冒頭のエピソードなどは全体の中ではちょっと浮き上がっているし、「意欲的に語ってやろう」という意識が強すぎるように感じられた。語り口調もばらばらで、急になれなれしくまとわりつくかと思いきや、急に丁寧な説明になってしまう箇所もあり、幾分読みにくい。 ...続きを見る

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2012/08/11 15:21
「大学改革実行プラン」(文部科学省)についての雑感
「大学改革実行プラン」が文科省より発表されている。およそ5年間の計画で大学教育の質的転換を目指すものという位置づけである。計画策定に当たっては、官僚以外にどのような人たちが関わったのか、あるいは計画の発案、修正といったプロセスの詳細は明らかではないが、当該プランそのものが大学教育改革の必要性を非常に分かりやすい形で示しているような印象を受ける。 ...続きを見る

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2012/06/08 11:30
「いかにして問題をとくか」G.ポリア(柿内賢信訳)
「発見学」に軸足をおいた1945年の著作であり、翻訳者の熱意により国内での出版が実現した数学書とのことである。”How to solve it”が原題であり、(数学の)問題に対する解答にどのようにしてたどり着くのか、どうすればそのような発見に至るのかについて、数式ではなく「言葉」で説明されている。対象とする「問題」とは数学の問題であり、条件に対する考え方や利用の仕方などの制限は「数学」の枠内であるが、より一般的な意味での発想法、解法の糸口のつかみ方を議論している点が評価の高い所以と思われる。帯に... ...続きを見る

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2012/01/28 18:12
「金融が乗っ取る世界経済―21世紀の憂鬱」ロナルド・ドーア
著者は「経済の金融化」そのものが、現代において解決すべき問題であるという視点から本書を著している。経済学について門外漢である人間にとって、「金融化」が世界にもたらした福音が何であるのかを理解することは極めて難しい。経済成長に必要な資本を融通する「金融」を超えた「金融」の役割とは何なのか、またそれは誰のためにあるのかを考えると、先端的な「金融」の仕組みは富裕層への所得の移転、格差の拡大を主たる目的としているという結論に至らざるを得ない。こういう考え方は素人の意見なのだろうかと感じていたところに、本... ...続きを見る

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2012/01/09 22:20
「御厨貴・東京大学先端科学技術研究センター教授に聞く【最終回】」池上彰の「学問のススメ」
「日本の小さすぎる「首相の器」をテーマに語り合う」という日経ビジネスの連載の最終回である。どの程度の反響が世の中であったかは分からないが、最終回では官僚予備軍としての東大生の問題点がよく取り上げられているように感じられた。由々しき問題が含まれているように思うのであるが、特に危機感をもったやりとりにはなっていないような印象ももった。 ...続きを見る

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2011/12/18 00:45
「サイエンス入門T」リチャード・ムラー
本書は、カリフォルニア大学バークレー校における学生が選ぶ「ベスト講義」の一つをベースにしたもので、YouTubeで公開された講義は大きな反響を巻き起こしたようである。この講義は文化系学生を対象としたものであるため、本書には当然のことながら化学式や数式は殆ど登場しない。おおよそ四則演算とべき乗くらいが計算できれば内容を理解することはできる。しかしながら、著者も文中で指摘するように、理系学生がサイエンスの原則的な項目を全て理解しているかというとそれは怪しいものであり、特に私のような生物系の自然科学者... ...続きを見る

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2011/11/14 23:03
「知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合」黒木登志夫
帯の文句を読むとかなり幅広い対象に向けて書かれた本のように見えるが、実際のところは、自分で英文の論文を執筆する、理系の、特に生命科学を専門とする研究者にとって最も役に立つ内容である。新書であるからタイトルは編集部に責任があるのかもしれないが、これ以外の層の読者にとってはピンとこない箇所もあるだろう。一方で、もう少し適切なタイトルを付けて、専門誌を出す出版社から売り出せば的確に本書を必要とする読者に届くのではないかという印象をもった。このブログの読者であれば一読の価値がある。 ...続きを見る

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2011/06/14 22:41
「小学校英語は「活動」で」中嶋嶺雄(朝日新聞―オピニオン)
朝日新聞のオピニオン欄では、一つのテーマについて二人の対立する論者が意見を述べる欄がある。複数ある論点に対してそれぞれの意見がかみ合い有益な意見交換として読める場合もあれば、単なる自説宣伝の場で終始し二人の論者が選択されていることに全く意味が認められないこともある。 ...続きを見る

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2011/05/01 21:34
「カオスとアクシデントを操る数学‐難解なテーマがサラリとわかるガイドブック」エドワード・B・バーガー
著者らは数学啓蒙、数学教育の分野で有名な研究者であるそうで、著書を読むのは初めてであったが、なるほどと実感できる良書である。アメリカではワトソンの分子生物学やファインマンの物理学のように、超一流の研究者による教科書という伝統もあるが、一方で科学啓蒙・教育を専門とする研究者による教科書や、啓蒙書にも素晴らしいものがたくさんある。出版の究極の目標は両者では異なることから、専門家を目指さない限りは後者の方が楽しくその領域を学べるものが多い。一般向けの啓蒙書は、対象とする読者のレベルをどう設定するかによ... ...続きを見る

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2010/12/30 12:11
「娘が東大に合格した本当の理由‐高3の春、E判定から始める東大受験」隂山英男
著者は現在立命館小学校副校長、立命館大学教授を務めるが、「100ます計算」に代表される、いわゆる「隂山メソッド」と呼ばれる読み書きの反復練習、早寝早起きの生活改善指導で有名である。また、教育再生会議有識者委員の一人であり、中教審では学習指導要領づくりに関わり、「ゆとり教育」からの方向転換において重要な役割を果たしている。教育の実践者が、「ところでお宅のお子さんはいかがでしょう」と尋ねられることは大変な苦痛だと思われるが、やはり著者ほどの有名人になると避けられない問題のようである。煽... ...続きを見る

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2010/11/27 01:34
「希望難民ご一行様‐ピースボートと「承認の共同体」幻想」古市憲寿、本田由紀(解説と反論)
「「あきらめろって言うな!」40代・東大教授」「「若者をあきらめさせろ!」20代・東大院生」というキャプションのもと、著者と解説者が背中合わせになった写真はなかなか効果的で、つい手にとってしまった。本書は著者の修士論文をもとに、新書向きにエンターテイメント性を加えて書き直されたものである。著者は現在東京大学総合文化研究科の博士課程に在籍しているが、一方で有限会社ゼント執行役という肩書きも紹介されている。ゼントの方は何のためのwebサイトなのかちょっと判然としない、ちょっと人を喰ったような内容で、... ...続きを見る

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2010/09/15 01:33
「カウンセリングの実際(心理療法コレクションU)」河合隼雄
そう言えば若い頃にはそうした危機が幾度かあったのかもしれないと思うくらい、思春期の危機というのは遠くなってしまったが、所謂中年の危機(「中年クライシス」という著書もある)や、自らの死とどう取り組むかという課題はより身近なものとなってきた。時間とお金さえ許せば信頼できるカウンセラーの手を借りて自己実現の旅を進めたいという気持ちもあるが、日々の生活からはそうした余裕はとうてい生まれることはない。本書でもたびたび語られるように、必要なときにはその機会が訪れるのかもしれない。著者の数々の著作の中では、様... ...続きを見る

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2010/04/21 23:24
科学教育の重要性
今回の事業仕分けでは、財務省の主計局が非常に重要な役割を担ったことが次第に明らかとなりましたが、以前少しふれたように、主計官を務める官僚がどの程度当該分野についての見識を持っているかという問題は見過ごすことができない問題点ではないかと考えるようになりました。あわせて、近年大きな問題となっている様々な制度の疲弊と改革の失敗の背景には、我が国における科学教育の軽視があるのではないかと考えます。そこで、これをきっかけに少し考えたことを記録しておきます。 ...続きを見る

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2009/12/31 01:41
「ユング心理学入門(心理療法コレクションT)」河合隼雄
著者の晩年といえる時期の著作は一般の読者に分かりやすい表現で著されているが、そうした表現の奥にどのような思想が隠れているかについては逆に難解に感じられることが多い。それらと比較すると本書は初期の著述であり、著者の問題意識が明瞭に示されている。学問的な厳密性を失わないよう留意された抑制された表現ではあるが、著者が心理学のどの領域を取り扱い、どのような問題意識をもち、さらには日本人の心性を西洋の心理学の枠組みの中でどう考えるかという点が正面から議論されている。やや難解な箇所もあるだろうが、河合隼雄の... ...続きを見る

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2009/08/04 00:51
「子どもの宇宙」河合隼雄
著者は「はじめに」でタイトルが大きなものになっていることをわざわざ断っているが、まさに相応しいタイトルであり、子どもの心の中にひろがる世界の大きさへの畏怖を感じることの重要性がしっかりと説明されている。誰もが過ぎる子どもの時代であるが、大人になってしまえば当時の気持ちを復元することは難しい。そこで著者は優れた児童文学をもってくることによって、この困難を解決する手がかりを得ている。 ...続きを見る

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2009/07/12 22:30
「瀕死の双六問屋」忌野清志郎
著者は今年がんにより亡くなったロックミュージシャンである。長らく雑誌を読まなくなっていたので、TV Brosに連載があったことも知らなかった。音楽活動を彷彿とさせる雰囲気にあふれており、ファンへのサービス精神と、怒り、そしてユーモアが絶妙に取り合わされている。双六問屋とは何かについては僅かな言及しかないのであるが、著者が理想郷として捉えていることは伺える。双六問屋の世間は、著者のパブリックイメージとは裏腹に、適度なしがらみのある情緒的な世界でもある。著者のファンであれば、著者の叙情的な側面はよく... ...続きを見る

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2009/06/28 21:42
「回復力」畑村洋太郎
「失敗学」で有名な畑村洋太郎の新作であるが、あとがきにあるように「失敗者に温かい視点」を私たちがどのように身につけるかという点に重点が置かれている。「失敗学」関連の著作を読めば分かるとおり、著者は「失敗」というものはいくら用心しても起こるものというスタンスで一貫している。「失敗学」では「失敗」からどのように学ぶかに重点が置かれるが、「失敗」が避けられない以上、そこからどう回復するかという問題も重要である。著者ほどたくさんの「失敗」の事情を知るものも少ないと思われるが、その経験は「失敗からどう学ぶ... ...続きを見る

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2009/05/23 23:04
「落下傘学長奮闘記‐大学法人化の現場から」黒木登志夫
「落下傘学長奮闘記‐大学法人化の現場から」黒木登志夫 国立大学法人化の前後の激動の時期を、岐阜大学学長として体験した著者による興味深い記録である。新書の売らんかなの姿勢のせいで、おかしなタイトルにはなっているし、「抵抗にめげず奮闘する落下傘学長」という見当外れな帯までかぶせられているのだが、地方大学に関わる人間であれば是非読むべき1冊と言えるだろう。確かに学内からの抵抗もあったことは伺えるが、本書はそんなところに視座があるわけではない。むしろ学内の抵抗勢力にはたくさん書きたいこともあるはずだが、そうしたネガティブな側面はひとまず措いて、法人化におけ... ...続きを見る

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2009/04/16 22:42
「新学歴社会と日本」和田秀樹
「新学歴社会と日本」和田秀樹 著者は教育問題に関して多数の著書をもつ精神科医であり、本書を読む上では著者自身が、灘中学出身であり、国内の最高の頭脳が集まると考えられている東京大学医学部出身のいわゆるがちがちの受験エリートであることを留意する必要がある。 ...続きを見る

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2009/04/04 00:41
「人を見抜く技術‐20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」」桜井章一
本書の著者である桜井章一は、私の世代で麻雀をするものであれば知らないものはいないのではないかという有名人である。もう少し世代が上であれば、阿佐田哲也(色川武大)が麻雀の神様ということになるだろうが、阿佐田哲也がどこか無頼を絵に描いたような、少々ロマンティックなところがあるのに比して、桜井章一はもう少しクールな印象が強い。阿佐田哲也が負け犬的なメンタリティに対してどこか同情的である(自身の人生に重ね合わせられることもある)のに対して、桜井章一は駄目な人間には駄目になる要因があるという切り口であくま... ...続きを見る

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2009/04/01 23:27
「叛逆としての科学‐本を語り、文化を読む22章」フリーマン・ダイソン
フリーマン・ダイソンの精選書評とエッセイ集である本書の殆どは、著者が60歳から80歳の間におおよそ書かれている。老境における知的生産性には大きな個人差があるものであるが、本書に見られる著者の思索のしなやかさは驚嘆すべきものがある。科学者のエッセイとしては最高峰に位置づけられる作品であり、もっと早くダイソンの著作を読んでおくべきだったと反省させられる。科学者が文章を書くとき、特に一般の読者に向けて書く場合にどのような姿勢が適切であるのかということを学ぶ上でこれ以上の教材は少ないだろう。明晰な文章で... ...続きを見る

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2009/03/02 23:47
「大学「法人化」以後‐競争激化と格差の拡大」中井浩一
タイトルの通り、法人化以降の大学をテーマとして、いくつかの切り口から取材を行っている。論文捏造というセンセーショナルなテーマに始まり、産学連携、教育大学、附属病院・医学部、そして最後に地方大学という順で話題が進む。やや性急な文章は荒削りであるが、その分情報の密度は濃い。「法人化」された大学は当然国立大学が中心であり、科学研究費補助金(科研費)を始めとする競争的資金の配分の偏りを考慮すれば、本書で問題となるのは地方の国立大学である。本書は地方国立大学の抱える問題を最終的に分かりやすく読者に理解させ... ...続きを見る

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2009/02/14 00:24
「2日で人生が変わる「箱」の法則」アービンジャー・インスティチュート
前著で「箱」の存在とそこから脱出する方法に気づき、会社経営にこの要素を取り入れることにより未曾有の成功を得ているという設定のルー・ハーバートが、初めて「箱」の考え方に出会った際のエピソードが本書では描かれている。前著ではやり手で有能な社員が、自らに欠けている要素を指摘され、反発や疑問を抱きながらも、最終的には「ザグラム社」の社是ともなっている「箱」にまつわる知恵を自分のものにしていく。本書のルー・ハーバートのエピソードも同様の流れで、傲慢で自己中心的な主人公が「箱」の存在を知り、うろたえながらも... ...続きを見る

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2009/02/06 22:24
「自分の小さな「箱」から脱出する方法」アービンジャー・インスティチュート
書店では、最近とみに増えている自己啓発系のコーナーに置かれていることが多く、実際にそうした需要は高そうであるが、いわゆる「〜ハック」的な軽い内容の本ではない。アメリカ社会は、崇高な人類としての理想を追い求める実験国家であると同時に、超宗教的な中世社会と類似した国民を多数抱える失敗国家でもあり、そうした全米でベストセラーである自己啓発本となれば、まずは疑ってかかる要素はたくさんある。一般に欧米的なものの見方にコンプレックスをもつことが多い日本人は、欧米人が悩む問題を自身は本当は軽く乗り越えているに... ...続きを見る

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2009/02/03 00:19
「つなげる力」藤原和博
著者は、杉並区の和田中学校長として数々の新しい教育改革を成功させ一躍時の人となった。最近では橋下知事からの任命を受け、大阪府の公教育にもその力を発揮しようとしているところである。著者には以前から関心を持っていたのであるが、なにぶんたくさん著書があるので、どこから手を付ければ良いのかと躊躇していた。本書は「つなげる力」というタイトルで帯にも「問題解決のノウハウを全公開」とある。ノウハウであるからには、単なる教育論ではないだろうし、一方で何をやったかだけの話でもないだろうと想像して購入した。結果的に... ...続きを見る

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2008/11/04 23:04
「ムハマド・ユヌス自伝‐貧困なき世界をめざす銀行家」ムハマド・ユヌス
マイクロクレジットの先駆けとして知られる「グラミン銀行」の設立者であり、2006年にはノーベル平和賞を受賞したバングラディシュのムハマド・ユヌスの自伝。マイクロクレジットとは何か、あるいは貧困問題には特に強い関心がないという向きにも強く推薦したい一冊である。特にこれからどのように生きていくべきかを悩む人にとっては示唆されるところの多い自伝といえる。普段は書評というより感想を垂れ流しているだけであるが、ここを訪れた人には是非読んでいただきたいので、背中を押すような気持ちで紹介したい。 ...続きを見る

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2008/09/21 22:59
「キャリアデザイン入門 [I][II]」大久保幸夫
リクルート出身で人材マネジメント畑を一貫して歩み続けてきた、まさに専門家によるキャリア論である。基礎力編と専門力編の二分冊となっているが、基礎力編がいわゆる若者のためのキャリア論であり、いくつかの項目は既存のキャリア本とよく似た内容である。例えば、流行の「自分探し」への断罪が含まれていたりする点は、昨今の若者にも目配りのある書きぶりである。一方、専門力編は中年以降のキャリアを如何に築くかという点に主眼が置かれている点で、少なくとも一般向けの本としては類書は少ないように思う。著者の主張したい点もむ... ...続きを見る

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2008/08/07 00:05
「なぜ日本人は学ばなくなったのか」齋藤孝
著者は教育学、身体論の専門家であり、「声に出して読みたい日本語」の大ヒットや、三色ボールペンで一般には有名である。著者の特徴は、教育学にプラス身体論が加わっているところであり、音読や呼吸法の知識が教育論とかみ合う部分である。監修として関わっているケースも多いのであるが、ここ数年間の著書の出版量は並外れており、もし著者が大学の教員でないとしたらゴーストライターやサポートチームの存在が疑われるレベルである。その結果、対談や他人のふんどしを借りるような著作、あるいは従来の自説を薄めて広げたような著作の... ...続きを見る

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2008/06/28 00:08
「いのちはなぜ大切なのか」小澤竹俊
著者はホスピス医であり、「ホスピスの伝道師」として現在も精力的に講演等の活動を続けているそうである。「いのちはなぜ大切なのか」という魅力的なタイトルであり、いったい何が書かれているのだろうと期待して読み始めたが、読了後は、こうしたテーマで何か斬新なことが書かれていたとしたら、かえって反発するだろうなあという納得に近い気持ちを感じることになった。従来から、論議されているポイントを一つ一つ取り上げ、著者の意見が述べられている。厳密に読めば、問いと著者の答えは必ずしも正確には対応しておらず、話をそらさ... ...続きを見る

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2008/06/24 01:25
おやじのせなか(朝日新聞)寺脇研
日曜日の朝日新聞の教育面には「おやじのせなか」というコラムがあり、芸能人をはじめとする著名人が自分の父親を語っている。6月15日の「おやじのせなか」には寺脇研が登場していた。寺脇研と言えば「ゆとり教育」を推進した文部官僚であり、最近では映画評論家という肩書きだったり、「元官僚」による官僚批判という昨今のブームにも乗っかった活動が目立つ。高橋洋一ブームはともかく、この人が官僚批判とはと呆れる方も多いだろう。当人は型破りな官僚のつもりであろうが、非常に狭い領域をもとにした議論は当時でも違和感のあるも... ...続きを見る

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2008/06/17 01:05
「文明としての教育」山崎正和
著者は評論家かつ劇作家であり、筆者の世代では現代国語のテキストや入試問題でなじみ深い。「世阿弥」や「鴎外‐闘う家長」、「不機嫌の時代」、「柔らかい個人主義の誕生」など、いずれも今でも十分読み応えのある評論である。そのような読書経験を持つものからすると、今回の著作は口述筆記である点が誠に物足りない。後書きにあるように、口述筆記の場合はどうしても共同作業の枠から逃れることができないために、単語一つ一つが吟味されるということがない。大筋こういうことが言いたいという点は伝わるが、そうした言葉の取捨選択が... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2008/06/11 23:18
「東大で教えた社会人学」草間俊介・畑村洋太郎
「失敗学」や数学本で有名な畑村洋太郎が、機械工学科を卒業後ユニークな経歴を辿り現在税理士でもある草間俊介とコラボレートした講義の内容を起こしたものである。「この本のなりたち」から引用すると、 ...続きを見る

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2008/04/16 22:23
「数学でつまずくのはなぜか」小島寛之
数学の本を一般の読者が読む場合、いかに分かったような気になるか、あるいはそのせいで少し考え方が変わったように感じるか、といったところに醍醐味があるような気がする。私もこれまで何となくそういう方向で楽しんできたが、今回は少し考えさせられるところがあった。 ...続きを見る

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2008/04/05 02:15
「日本を教育した人々」齋藤孝
一般には「声に出して読みたい日本語」やNHKの「日本語で遊ぼう」の監修で有名な著者である。「「できる人」はどこがちがうのか」で三つの力の重要性を学んで以来、時々手にして読むようにしている。近年は特にかなりの多作であり、書きすぎで内容が薄くなっていたり、あるいは繰り返しが多いのではという危惧もあったが、本作に関してはそういう心配は無用であった。 ...続きを見る

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2008/02/18 22:22

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