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zoom RSS 「サイエンティフィック・リテラシー―科学技術リスクを考える」廣野喜幸

<<   作成日時 : 2013/09/01 21:59   >>

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タイトルはむしろ副題の方が良く内容を表していて、筆者も本文中で述べているようにリスク論入門として読むとしっくりくる。科学リテラシーというと必ずしもリスク論にとどまらないので、これは出版社のミスリーディングかもしれない。帯には「いかに科学の知識・教養を身に付け、集めた科学情報からいかに物事の本質を見ぬけばいいのか?」とあるが、新書であればいざ知らず、落ち着いた出版社がするような手ではないだろう。

リスクといえば第一に連想される「死亡リスク」から話はスタートし、末尾まで一貫してこのリスクについての考え方が、様々な具体例を使って紹介される。リスクの専門家が情報をどのように捉え、裏を読み、解析しているのかということが実例を通じて解説される様子は大変興味深い。一見して背景の説明が詳しすぎるのでは?と思う箇所もあるが、これも終盤において読者がリスクについて自分で評価を下す上での重要な情報となっている。データ取得におけるエラーや課題も含め、7割が自然科学の一領域としてのリスク論であるが、末尾の3割は社会とリスク論との関係の議論に充てられている。

著者の議論は極めて周到で、数値化によるリスクの可視化の重要性、あるいは数値化することの問題点、一般の人々が数値を受け入れる際の問題点、社会との合意など、多岐にわたる課題が取り上げられる。入門としては十分すぎる内容で、むしろこれらを消化し自らのスタンスを考えるだけでも相当な労力を要する。一方で、リテラシーとしてはどこまでがそう呼べるのだろうという疑問も残った。本書と同等の議論を一般の人々に望むのは明らかに無理がある。すると、情報を提供し、啓蒙する側であるリスク研究者にはどういう姿勢が望まれるのだろうか。本書における中西準子さんのスタンスに対する評価は些か辛口であるが、それでは著者のようなリスク論を取り巻く複雑さをそのまま受け止めたような議論が政策決定者や一般の人々に有効かというと、それもまた疑問である。リスク研究者がどのレベルで社会と関わるか(政策決定者と二人三脚を組むのか、あるいは研究者として提言するのかなど)によっても妥当なスタンスは変わってくるだろう。

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