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zoom RSS 「統計学が最強の学問である」西内啓(Kindle版)

<<   作成日時 : 2013/02/18 23:47   >>

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統計学の成果は様々なwebサービスで活用されており、Googleやマイクロソフト、AmazonといったIT企業が近年、注力していることはよく知られている。IBMがSPSSを買収した事件も当時はいろいろ議論があったようであるが、現在、その判断について疑問を挟む人は少ないだろう。一方、国内で統計学がどのような取り扱いを受けているかを振り返ると、世界的に見てとりわけ日本において大きな認識不足があるように思われる。マーケティングのような分野ではその有用性が認識され始めているようであるが、本来の統計学の力はまだまだ世の中に活かされていない。本書は、政府における統計の取り扱いに見られるような死んだ数字の羅列ではなく、意思決定に直結した戦略性のある統計学を紹介している。次にどうすればよいかを判断するために必要なデータを最小限の労力で集めて、実際的に成功する可能性の高い選択肢を選ぶにはどうすればよいのか、その基盤が統計学にある。個人的に驚いたのは、統計学では比較的最近に至るまで重要な進展が続いている、即ち学問領域として非常に若々しいことである。そう考えれば、現在、社会を動かす層が統計学を軽く見ているのも致し方ないかもしれない。

著者も揶揄しているが、教育政策における日本の惨状は酷いものである。中教審では、有名人やスポーツ選手や大企業の社長などが、自分の僅かばかりの経験について声を大にして述べることが多いが、そんな特殊な事例が国家の教育においていかほどの教訓を与えるというのだろう。教育大学は附属小学校をもち、実験的な教育を導入することもある範囲で許されているにも関わらず、今もってそこには戦略的な統計の姿はない。様々な研究者が思いつきを試しているだけで、いつまで経っても教育学の知見は蓄積しない。そのうち社会情勢が変わって一からやり直しの繰り返しである。

人間社会において有益な試みが何かを人的バイアスなしに判断する上では、統計学の知識は必須であるし、また疫学的なアプローチも有益だろう。中等教育くらいからこうした新たな教養教育の再構築をしなければ、日本の将来は暗いのではないかと思わされる。

余談であるが、2013年2月現在で本書が出版されているKindleの電子書籍のラインナップはなかなか酷いものである。一発ものというか、詐欺的な本は盛んに素晴らしい勢いで出版されているが、しっかりした内容の本となると、見つけるには相当骨が折れる。本書や著者のスタンスは、短期的な読者をつかまえる上では有用だが、社会を変えていくためには些かアプローチが軽いような気がする。経済的には優れたアプローチなのかもしれないが、折角の良い議論が胡散臭い雰囲気を漂わせてしまっている点は少しく残念である。

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