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zoom RSS 「数学で生命の謎を解く」イアン・スチュアート

<<   作成日時 : 2012/12/28 21:30   >>

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本書の帯には「最新の研究成果を通して明らかにする21世紀数学の最前線」という惹句があるが、実際に読んでみるとそういう内容ではなかった。Amazonで見つけて購入したが、書店で手に取っていればもしかしたら帯と内容の違いに気がつけたかもしれない。生物学において活用されている数学とはどのようなものか、またその理論や背景が理解できると良いなという期待があったが、本書はむしろ逆で、「数学者が理解した現代生物学の紹介」という評価がより適切だろう。出だしのフィボナッチ数と植物、あるいは黄金比の誤解などの記事は興味深い内容であるが、後半に行くに従い数学的な記述は減少し、一般的なポピュラーサイエンスの著作となってしまう。これでタイトルがMathematics of Lifeというのはちょっといただけない。また、これは本文がそうなのかもしれないが、何度読んでも理解できない箇所がいくつかあった。基本的に数学的な記述は端折りすぎていて、エッセンスしかないために大変分かりにくい。このあたりからも本書は数学に通じた読者が生物のことを学ぶという想定で書かれているように感じられる。

数学者の生物に対する理解という意味で興味深かった点は、分子生物学はまだ生物についてごくわずかの範囲でしか記述できていないにも関わらず遺伝子組換え作物が既に社会に組み込まれていることへの違和感を著者が感じているというところであった。遺伝子組換え生物に関する記述は些かバランスが悪いのではと感じるほど長い。大筋では著者の違和感は共有できるが、一方でここはさぞかし気に入らないのだなあという印象を受けた。今もって細胞一つが人工的に再現できないことや、非線形科学としての難しさ、複雑系と生物など、もっと数学者に解説して欲しいところはたくさんあるのだが、比較的あっさりしており、生物学そのものについての記述が多い。また、いわゆる数学モデルと生物学との関係に関する本質的な議論は避けられていて、その点も不満が残った。最終章は生命が宇宙に存在するかという議論であるが、これが驚くほどぐだぐだした議論となっている。少し整理すれば半分以下の分量で、分かりやすく議論できるだろう。しかも結論も驚くようなものではなく、極めて穏当なものである。

生物学に関わる人にとっては新たな発見は幾分少ないことから少しマイナス面を言及したが、所々面白い解説が読めるという意味では良質のポピュラーサイエンスと言えるだろう。

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