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zoom RSS 「国家の存亡―「平成の開国」が日本を亡ぼす」関岡英之

<<   作成日時 : 2011/05/09 23:16   >>

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「拒否できない日本」で初めて著者のことを知り、その後「なんじ自身のために泣け」を読んだ。日本の様々な施策の多くに「年次改革要望書」というアメリカからの指令が影響を与えていることが広く認識されるようになったのは、著者によるところが大きい。著者の強みはアメリカだけではなく、中国に関しても造詣が深いことであり、両大国に挟まれた日本の行く末を考察する上で重要な示唆がある。著者自身が炭坑のカナリアを自称するように、本書を含む多くの著作は日本に対する警鐘であるため、その表現は幾分煽り気味のところもある。しかしながら、公開された資料や実際の出来事をベースにした議論は説得力があり、巷で人気の経済学者の適当な推測や解説と比べて遙かに意義のある内容である。

アメリカは理念をもとに建国された人工国家であり、科学技術の発展を原動力とした輝かしい面が評価される一方で、世界史的に見て人類の大きな失敗だという意見もある。本書でもそのマイナス面がいくつもあげられるが、アメリカでは情報公開の原則が厳守されているところは評価が出来るところである。例えば日本では「墓場までもっていく」という表現にもあるようにキーパーソンが何も語らず消え去っていくことはしばしば見られる。チョムスキーの一連の著作や本書のような解析は、アメリカの徹底的な情報公開の姿勢がなければそもそも存在しえない。全くもって品性のかけらもない国家的な悪巧みや謀略、戦略が時期さえ来れば公開されるというシステムがどうして維持されているのかは不思議であるが、それも人工的な国家としての一つの特徴かも知れない。巨大国家の傲慢といえばそれまでであるが、自分たちのシステムこそが人類の到達点であるという一種の信念が、種々のトラブルを世界にまき散らしながら、また同時にその過程を公開するという現象に結びついているのだろう。

表面的にはアメリカ、あるいはアングロサクソン的な弱肉強食の姿勢は何とひどいものかという印象を持つが、著者が本当に問題にしていることは国内の指導的地位にいる人間の質であろう。本書ではTPPが題材に取り上げられているが、国家を指導する人たちが変化しない限りは何度でも危機は訪れ、その都度後退を余儀なくされるだろう。選挙での投票行動一つを取ってみても、高齢化社会の進行は大きな変革を妨げる。本書で鳴らされる警鐘はどの程度社会に影響を及ぼすだろうか。大勢の人間がどのようにうまく生きていくのかについては既に世界中でたくさんの優れた考察があるが、現代の人間は現代の状況だけを見て刹那的な判断に終始し、何度も歴史は繰り返してしまう。

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