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zoom RSS 「小学校英語は「活動」で」中嶋嶺雄(朝日新聞―オピニオン)

<<   作成日時 : 2011/05/01 21:34   >>

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朝日新聞のオピニオン欄では、一つのテーマについて二人の対立する論者が意見を述べる欄がある。複数ある論点に対してそれぞれの意見がかみ合い有益な意見交換として読める場合もあれば、単なる自説宣伝の場で終始し二人の論者が選択されていることに全く意味が認められないこともある。

4月30日の朝日新聞では「小学校英語」がテーマであるが、論点はその是非ではなく、どちらかと言えば実施方法についてであった。私が取り上げた方の論者は、中教審による2006年の小学校英語に関する提言のとりまとめ役である。中教審や文科省の議論やニュースについて感じることは、教育についての議論は委員の個人的な経験に基づいてしかできないのだろうか?という疑問である。様々な委員は自分の幼少時の経験や見聞きした事実をもとに、この方法こそが良い教育だとか、あるいはあの方法は問題が大きいといった意見を述べる。自然科学者が聞けば、母集団の性質やサイズはどうなのだろう、本当に日本人全体に対する教育システムとして妥当なのかなど、疑問はいくらでもわいてくる。そもそも国家の教育戦略を練る場で自分の経験のみに基づいた議論を人前でして恥じることがないというのは不思議な感覚であるが、中教審や文科省ではそうでもないようである。

小学校1〜4年生は頭がやわらかく、この時期に体になじませれば、年齢を重ねてもなかなか忘れない。私自身、4年生でバイオリンを習った経験から確信しています。私が師事したのは鈴木鎮一先生。スズキ・メソードという幼児教育法を生んだ著名人ですが、「耳で聴いて覚え、それを繰り返し練習する」という方法をぜひ、英語教育にも応用すべきです。


具体的にいちいち指摘することはあまり意味がないことかもしれないが、頭がやわらかいというざっくりした表現であれば、これは小学校1〜4年に限定される話ではないのではないだろうか。あるいは論者は幼稚園、保育園からでも英語をやるべきという意見なのかもしれない。論者はバイオリンを習った経験から確信しているようであるが、バイオリンと英語は教育対象として同等の性質をもつのだろうか。バイオリンでうまくいく方法が英語教育でも応用できるという確信は、何が保証しているのだろうか?スズキ・メソード(メソッド?)というのはバイオリン教育で有名なのか英語教育で有名なのかはよく判らないが、本当に全日本人が是非とも取りいれるべき方法なのだろうか。

こうした指摘は医薬品の申請、認証という場面で考えてみれば分かりやすいかも知れない。例えば、ある委員が「いかなる疾患にたいしても大変高い効果を有するホメオパシーは是非保健医療に取り入れるべきだ。私自身、アレルギーや神経痛でその効果を確認しており、実際助産師の団体も積極的に取り入れている。」という意見を述べたとして、これはまともな提案として取り上げられるだろうか。あるいは「ごまは身体に良いので、給食に毎日取らせるべきだ。証拠は登山家や私の健康振りだ。」という提案でも良い。医薬品の場合は、治験と呼ばれる手続きを経て、不特定多数の患者を対象とした場合に効果が見られる可能性が高いことを証明しなければ、議論の俎上にものぼらない(ここでは「トクホ」の胡散臭さについては述べない)。教育に関する議論では、どのような結果が得られたときに教育効果があると判定するのかという点からそもそも合意が形成できておらず、国立の教育大学を利用して新たな教育方法が検証されたという話も聞かない(後者についてはあるのかもしれないが、検証の結果、中教審の方針が変わったというニュースは聞いたことがない)。

理系文系という枠組みが明瞭で学生の進路に大きな影響を及ぼすのは日本の特徴であるようだが、いわゆる「識者」と呼ばれる人たちが、公的な会議や新聞の論説でこのような稚拙な議論をして問題にならないのも日本の大きな特徴だろう。小学校の英語などということを議論する前に、責任のある立場の立派な大人が「おもしろ議論」を展開してしまうという高等教育の問題点について処方箋を書く必要があるのではないだろうか。

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