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zoom RSS 「カオスとアクシデントを操る数学‐難解なテーマがサラリとわかるガイドブック」エドワード・B・バーガー

<<   作成日時 : 2010/12/30 12:11   >>

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著者らは数学啓蒙、数学教育の分野で有名な研究者であるそうで、著書を読むのは初めてであったが、なるほどと実感できる良書である。アメリカではワトソンの分子生物学やファインマンの物理学のように、超一流の研究者による教科書という伝統もあるが、一方で科学啓蒙・教育を専門とする研究者による教科書や、啓蒙書にも素晴らしいものがたくさんある。出版の究極の目標は両者では異なることから、専門家を目指さない限りは後者の方が楽しくその領域を学べるものが多い。一般向けの啓蒙書は、対象とする読者のレベルをどう設定するかにより難易度を調整しなければいけないが、そのあたりのさじ加減は難しい。個人的な感想ではあるが、秀でた啓蒙書は読者のとばし読みに対して寛容である。レベルの高い読者はより高度な解説に満足し、そうでない読者はとばし読みをすることになるが、とばし読みをしたことで興が削がれるような構成では多くの読者を引っ張っていくことはできない。本書はそういう観点からも、適度な話題の掘り下げや、巧みな話題の転換により、読者を飽きさせない。

確率の問題は人間の直観と相反することが比較的多い分野である。人間が自然環境でサバイブしていく上で必要な感覚は、数学的には正しくないこともたくさんある。人間の感覚は、化学物質の安全性の議論や、交通制度の改革といった政策判断を行う上でも、しばしば誤った判断を誘発させる。本書でも条件付き確率の話題や、アメリカらしい話題であるが、航空機と自動車という選択肢を考慮する上で、航空機の安全性が些か低下する程度に航空運賃を下げることが全体としての死亡者数を減少させるという議論が登場する。また、AIDSの検査を受けて陽性だった場合に、どの程度心配するのが適切な反応なのか(実際に知らせを受け取った人の多くはAIDSではないことになる)といった話題についても、多くの人がその考え方を理解しておくことは社会的にも大事なことだろう。

本書はムロディナウの「たまたま」で取り上げられている話題と重なる部分もあるが、タイトルにも有るとおり、「カオス」や「無限」の議論、そして「フラクタル」や「トポロジー」についてもページが割かれており、一つ一つの項目については「もっと読みたい」と感じるところもあるが、全体としては軽快なテンポで、読みやすい。

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「明日をどこまで計算できるか?―「予測する科学」の歴史と可能性」デヴィッド・オレル
本書のもともとのタイトルはApollo's Arrowというものであり、その意味は予測の科学の歴史の中のエピソードとして登場する。洒落た原題と比べると翻訳は説明的であるが、本書の内容を過不足なく示している。冒頭からしばらく続く歴史の部分は些か退屈な記述もあるが、ケプラーの美しい法則ですら本人は楕円を採用しなければならないことに対して不満を感じていたことや、円の完全性に拘るあまり無数の周転円を採用することになった古典天文学など、興味深いエピソードをいくつか知ることができた。自然科学者が何を美... ...続きを見る
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2012/07/10 23:30

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