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zoom RSS 「医療崩壊の真犯人」村上正泰

<<   作成日時 : 2009/11/07 14:26   >>

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著者は1974年生まれの元大蔵官僚で、厚労省出向中に医療制度改革に関わり、2006年に退官している。現在は日本国際フォーラムという独立系の政策シンクタンクに所属して活動しているが、著書の経歴には現在の所属に関する記載はない。現役の若手の官僚が退官し、シンクタンクにおける分析、評論活動に移る経緯は大変興味深いが、こうした背景を欠いて本書を評価することは難しい。本書の内容とは離れるが、官僚として政策を作る当事者の立場を離れ、シンクタンクから評価をする立場へ移る動機というのはどういうものがあるのかという内面の問題にも関心をもった。官庁で少しずつ地歩を固めるより、一旦外部に出て自由に意見を述べ注目されることの方が、世の中を変えるためには早道という判断だろうか。あるいは、政府や官庁における既存の仕組みに対する閉塞感からなのであろうか。

本書は入門書として企画されたことがあとがきにあるように、近年の医療制度改革の内情と問題点、そしてそれに対する処方箋という順序で議論が進められている。論文ではないので当然のことかもしれないが、現場での出来事の描写が生き生きしている分、制度の全体像や問題点を整理して理解するという目的で読むと分かりづらいところがある。問題点の繰り返しも多いので、何が問題点かということは読者には印象づけられるが、それではどうしたら良いのかということを読者が考えるためには、もう少し論点が整理されないと困難かもしれない。医療制度改革ほど様々な人がいろいろな視点で批判しやすい話題も少ないと思われるが、逆に考えればそれだけ誰もが納得するような解が得にくい問題ともいえる。高齢者の医療費の比率が高い現状で高齢化が進展すれば、医療費が増大することは当然であるが、一見すると自明のそうしたことでさえ、一人の影響力の強い官僚の言葉の呪縛や小泉改革というムードにより、なかなか厚労省内で認められないという事実は、何事も人間が行うかぎり限界があり、理性的には判断できないという良い例だろう。

著者は近く医療制度に関する議論を上梓するということなので、本格的な議論についてはそちらを読む方が良いようである。適切な議論のためには正しい状況の把握が必要であるが、官庁から発表されるデータの恣意性や誤りが指摘される現在、外部から良い処方箋を書くためには著者の所属するようなシンクタンクが独自の強い調査力をもつことが重要のように思える。残念ながら、そうした分野については不案内であるが、現状はどうなのだろうか。

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