読書の記録

アクセスカウンタ

zoom RSS 「進学格差‐深刻化する教育費負担」小林雅之

<<   作成日時 : 2009/06/13 23:32   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

週刊誌は中吊り広告以上のことは書いていないということはよく指摘されるが、本書はタイトルと表紙の文章以上の価値がない点で週刊誌的である。

表紙の文章を引用する。もう少し落ち着いてこの表紙の文章を読めば、買わずに済ませたかもしれないと思うと少し残念である。中身はこれ以上のことは殆ど含まれていない。この文章そのものにも伺えるが、何が言いたいのか曖昧なところや、前後のつながりの悪さは本書を通じて認められる。

本書の目的は、個人の大学進学に要する費用の計算をすることではない。ここでは、大学進学に大きな費用がかかることを改めて確認したい。そして、こうした高等教育機会の費用の差が、個人の進路選択に大きな影響を与えていることを問題にしたい。


第一章、第二章であやうく挫折しそうになったが、アンケートや調査の数値についての著者の説明は非常に拙い。著者は東大出身で現在も総合教育研究センターの教授であるが、そうした肩書きからは想像ができないひどさである。そもそも低所得であれば医歯薬学系の授業料の高い学部への進学は困難であるが、そうした常識的に想像できることと、そうではない調査により初めて(あるいは意外にも)浮き彫りにされた特徴の両者が全く区別されず、延々と記述される。繰り返しの記述も多く、何に読者を注目させたいのかが不明である。第二章の結論部分は「現代日本の高等教育機会の格差は複合的要因によって規定されている」である。そんなことは調査しなくても分かるだろうと言われかねない。著者はせっかくのデータを解析するということを一切しない。ただ、見れば分かるよという程度の説明がつらつらと並んでいるだけである。

第四章では海外の奨学金を含めた教育費用の特徴が紹介されている。ここも、ただ単に海外の制度が紹介されているだけであり、価値判断は殆どなく、また日本の制度が見習うべき点についての言及も少ない。教育費が公的負担から私的負担へ、親の負担から本人の負担へと移行する世界的な趨勢を考えると、日本は進んでいるという意味不明の評価はあるが、進んでいるからそれで良いのか、あるいは古い制度を見直すべきなのか、あるいは外国の制度も一部取り入れた方が良いのか、そういう点についての提言はない。

あとがきには、この貴重なデータの解析は若い研究者がやるべきという、一種の放棄宣言すら見られる。海外の事例や記事を翻訳し、国内のアンケートをのんべんだらりとやっていれば、それで研究という、甘い世界がまだ残っていることには驚かされる。東大の教育学ではこうした著書はどのような評価を受けているのだろうか。あるいは新書であるのでこの程度で十分と考えているのであれば、一般の読者のレベルを低く見積もりすぎだろう。




進学格差?深刻化する教育費負担 (ちくま新書)
筑摩書房
小林 雅之

ユーザレビュー:
現実は把握できた。が ...
データは豊富だが、あ ...
圧倒的なデータ量だが ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「進学格差‐深刻化する教育費負担」小林雅之 読書の記録/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる