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zoom RSS 「回復力」畑村洋太郎

<<   作成日時 : 2009/05/23 23:04   >>

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「失敗学」で有名な畑村洋太郎の新作であるが、あとがきにあるように「失敗者に温かい視点」を私たちがどのように身につけるかという点に重点が置かれている。「失敗学」関連の著作を読めば分かるとおり、著者は「失敗」というものはいくら用心しても起こるものというスタンスで一貫している。「失敗学」では「失敗」からどのように学ぶかに重点が置かれるが、「失敗」が避けられない以上、そこからどう回復するかという問題も重要である。著者ほどたくさんの「失敗」の事情を知るものも少ないと思われるが、その経験は「失敗からどう学ぶか」だけではなく「失敗からどう立ち直るか」というテーマに対しても有効なものとして活かされている。

本書の大事なポイントとして、「失敗」してしまった個人には大きなエネルギーのロスがあり、時間をかけてこれを自然に回復しなければ、「失敗」に対処することは難しいという指摘がある。日本では「失敗」を認めた個人は、直ちにこれをごまかさずに、適切に、自分自身の手で対処しなければいけないというのが一般常識(正論という意味で)となっているが、対処するエネルギーが十分に充填されていなければ、こうした試みはうまくいかないことが、本書では強調されている。「逃げる」「他人のせいにする」「お酒を飲む」「愚痴をいう」など、おおよそ日本ではひんしゅくを買いそうなことが、「失敗」への当座の対処法として列挙されている。しかしながら、こうした手段を通じて、気力の充実を待つというのは、実は正攻法の「失敗」への対処法というのは良い指摘である。

一方で、気力の充実を待つあまり、失敗という記憶が変形されてしまって使い物にならなくなる点への懸念もしっかり述べられている。エネルギーを得るには時間がかかるが、その時間はあわせて都合の良いように記憶を書き換える作業に使われてしまうこともある。そのための記録が重要という指摘は「失敗学」でも強調されているとおりである。

うまく「回復」をするための手立てがたくさんあげられているが、日常の生き方にふれている箇所も、かなり重要である。Giveが3でTakeが1といった比率も確かにその通りと思わされるが(相当人間のできた人でおそらくこの程度の比率ではないだろうか)、「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉があげられるように、「お天道様に恥ずかしくない」日々の行為こそが「回復」を助けるという指摘は現代社会において優れて重要なメッセージである。この考え方こそが、日本社会の強さの秘訣であるにも関わらず、近年これを意識する人は少なそうである。

これから激動の時代を迎えるに当たって、著者もいうような歴史に翻弄されるという形での「失敗」は、これから激しく増えそうである。しなやかにしぶとく生き残るための姿勢として、「回復力」を身につけることは大事な課題である。

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回復力‐失敗からの復活 (畑村 洋太郎)
 畑村氏の本はいままでも結構読んでいます。 本書は、著者が提唱している「失敗学」の研究から導かれた「失敗を乗り越えるための現実的なアドバイス」を開陳したものです。 畑村氏は、人間が生来もっている「回復 ...続きを見る
OMOI-KOMI - 我流の作法 -
2009/07/05 14:26

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