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zoom RSS 「落下傘学長奮闘記‐大学法人化の現場から」黒木登志夫

<<   作成日時 : 2009/04/16 22:42   >>

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国立大学法人化の前後の激動の時期を、岐阜大学学長として体験した著者による興味深い記録である。新書の売らんかなの姿勢のせいで、おかしなタイトルにはなっているし、「抵抗にめげず奮闘する落下傘学長」という見当外れな帯までかぶせられているのだが、地方大学に関わる人間であれば是非読むべき1冊と言えるだろう。確かに学内からの抵抗もあったことは伺えるが、本書はそんなところに視座があるわけではない。むしろ学内の抵抗勢力にはたくさん書きたいこともあるはずだが、そうしたネガティブな側面はひとまず措いて、法人化におけるダイナミックな変化を記録、解析している姿勢は素晴らしい。いろいろと参考になる事例がたくさん含まれている。「国立大学は法人化をきっかけに活性化した」と断言できる理由がデータをもって細かく示されている。

著者自身も隠そうともしていないが、東大、京大を始めとする旧帝大を優遇してどこが悪いという観点は、なかなか表だって主張されることは少ないのだが、根強い意見であり、それなりの妥当性がある。著者の主張するように、日本の抱える問題点は予算配分の傾斜が急すぎて、そろそろ一部の国立大学は教育、研究が成立しないところまで追い込まれているという点である。裾野の部分に対する投資が極めて低調であるために、将来的にトップを支えるマンパワーが欠けていくのではないかという懸念が拭えない。運営交付金の1%削減はどこまで続くのか、現在日本に蔓延する学問を軽んじる風潮は財務省のお金の使い方にも原因があるのではないかと思われる。

本書は法人化に関わる資料として重要なことは間違いないのであるが、隠れたメッセージとして著者の前向きな姿勢をあげることができる。即ち、法人化に反対する教員が数多くいる中、これを一つのチャンスとして捉える姿勢が岐阜大学の成功に繋がっている。また、現在著者は「世界トップレベル拠点」のプログラムディレクターを務めている。このプロジェクトは一面格差政策の極致とも言える重点化計画であるが、これはこれで重要な政策として全力を尽くしている。こうしたポジティブな姿勢と柔軟性、これが医科学研究所で純粋な研究者生活を送っていた著者が、学会会長を務め、学長に指名され、自身の能力を多方面で開花させる原動力となっていると思われる。学長時代のストレスは大変なものだったようであるが、人生の終盤に至るまでフルに自分の能力を発揮できる立場に身をおける人は稀である。人間の可能性についてあらためて元気づけられるとともに、分野は何であれ日々の研鑽を続けてきた人間にチャンスが与えられるということが理解できる。




落下傘学長奮闘記?大学法人化の現場から (中公新書ラクレ)
中央公論新社
黒木 登志夫

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