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zoom RSS 「新学歴社会と日本」和田秀樹

<<   作成日時 : 2009/04/04 00:41   >>

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著者は教育問題に関して多数の著書をもつ精神科医であり、本書を読む上では著者自身が、灘中学出身であり、国内の最高の頭脳が集まると考えられている東京大学医学部出身のいわゆるがちがちの受験エリートであることを留意する必要がある。

本書の主たるポイントは日本の学歴社会というイメージは虚像であり、海外ではより明瞭な学歴社会が形成されていること、また数学の能力を重視する新たな評価を軸とした新学歴社会というべき潮流が国際的にあることの指摘である。興味深い点は、国内で受験競争が激しかった時期では、大学間の学力差は小さく、それに応じて生涯賃金もそれほど大きな相違がないという社会が形成されていたという記述である。個人的には分散が小さく平均的な能力が高い昔の日本の学修状況こそが日本の強みとなっていたと考えるので、できればこの時期に回帰することが望ましいと考えるが、著者はより現実的に現在の状況下、親は何を考えて子の教育をプランニングするかという問題に焦点を置いている。

また、地方において高学歴を望まない層が拡大しているのではないかという指摘も興味深い。都内の状況はあまりに異常であるが、一方で地方の若者は、ポテンシャルがあっても花開く場がなかったり、そもそも自身の可能性を大きくしてもらえないという可能性もある。本書にはいくつもの興味深い統計があり、高学歴を望む親にとっては著者の意見はともかく参考になることは間違いないだろう。

末尾は「和田式」勉強法の宣伝くさいところもあり、少し最初の勢いからはトーンダウンしている。また、高学歴の再生産という事象(これは学歴の世襲ともいうべき現象である)に対する解析が今ひとつ緩めであるために、新学歴社会は一般人にとっては未曾有のチャンスという、素直に頷けない結論が述べられている。また、最終章で学力を高めることの報償が結局は金でしかないと言わんばかりの例があげられていることも読んでいてがっかりする点であった。高学歴のものに許される特権とは、金ではなく、自分の考えを発表して他人に影響を及ぼしたり、あるいは自らの考えを仕事に活かして仕事のやり方を変えたりといった知的な喜びを日々得ることができるというところにあるのではないだろうか。高学歴を得て死ぬまで楽しみながら仕事をできるという喜びは、世襲により豊かな財産を受け継いだものと同じということにはならないと思う。




新学歴社会と日本 (中公新書ラクレ)
中央公論新社
和田 秀樹

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