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zoom RSS 「2日で人生が変わる「箱」の法則」アービンジャー・インスティチュート

<<   作成日時 : 2009/02/06 22:24   >>

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前著で「箱」の存在とそこから脱出する方法に気づき、会社経営にこの要素を取り入れることにより未曾有の成功を得ているという設定のルー・ハーバートが、初めて「箱」の考え方に出会った際のエピソードが本書では描かれている。前著ではやり手で有能な社員が、自らに欠けている要素を指摘され、反発や疑問を抱きながらも、最終的には「ザグラム社」の社是ともなっている「箱」にまつわる知恵を自分のものにしていく。本書のルー・ハーバートのエピソードも同様の流れで、傲慢で自己中心的な主人公が「箱」の存在を知り、うろたえながらも次第に光明を見いだすという展開は同じである。ただし、前著がビジネスへの応用を意識した書き方がされているのに対して、本書はより本質的な心の問題へと踏み込んでいる。

主人公は、「キャンプ・モリア」という象徴的な名前をもつ更正プログラムへ、問題児である次男を連れてくる。キャンプ・モリアはアラブ人とユダヤ人により共同で運営されており、ここで主人公は自分自身の心のあり方に大きな問題があることを理解する。私自身が前著を読んでいるので、前著ほどの強烈なインパクトはなかったが、「和平ピラミッド」と呼ばれるアプローチは非常に参考になった。これは、人間関係や種々の問題で行き詰まったときに、手がかりを与えてくれるものであり、一見して取り組むべきもう一段深いところからアプローチしなければ本質的な解決には至らないことを分かりやすく示している。

自己欺瞞から正当化の問題が生じ、攻撃性が生まれるという前著での分かりやすいメッセージは、本書では「平和な心を保つ」というより普遍性の高い言葉で表されている。「平和な心を保つ」というところまで行ってしまうと、むしろ漠然としてとらえどころがないような気がするが、「平穏な心」をもつためには、やるべきと思ったことを行動に移し、できることは自ら動くという能動的な要素が要求される。即ち、やっておく方が良いがやらなかったことを作ることは、自己正当化という欺瞞に結びつきやすいので、良くないということである。不可能なことは、できなかったとしても、心の負担になるわけではなく、やはり「〜したいものだ」というポジティブな要素として残るため、不可能なことをやらなかった場合はこの限りではない。前著と比べて、本書に宗教的なメッセージの要素があるとすれば、このあたりの内容がそうした雰囲気を醸し出しているような気がする。自然体にやるべきことをやるというのはなかなか普通の人間にはハードルが高い。「平和な心」を深く追求するのではなく、効率的に仕事をする、あるいは豊かな家庭生活を営む上での知恵として、「箱」の問題に取り組む方が健全ではないかと少し感じさせられた。究極的には「教える」「正す」という過程を通じて世の中を平和にすることこそが重要な課題であるはずであるが、ひとまずは身の回りのことから取り組んで、少なくとも自分の周辺では平和な関係が得られるよう努力しなければいけないだろう。

良い内容の本であるが、お勧めは前著である。また、たくさんの人の手に取ってもらうためには致し方ないことであるが、「2日で人生が変わる」というタイトルで、勝間本やナポレオン・ヒル、その他怪しげな啓発系と並んでいる光景は、非常に残念な気持ちにさせられる。間違って購入して、真価に気づく人が一人でも多く表れることを祈りたい。

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