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zoom RSS 「自分の小さな「箱」から脱出する方法」アービンジャー・インスティチュート

<<   作成日時 : 2009/02/03 00:19   >>

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書店では、最近とみに増えている自己啓発系のコーナーに置かれていることが多く、実際にそうした需要は高そうであるが、いわゆる「〜ハック」的な軽い内容の本ではない。アメリカ社会は、崇高な人類としての理想を追い求める実験国家であると同時に、超宗教的な中世社会と類似した国民を多数抱える失敗国家でもあり、そうした全米でベストセラーである自己啓発本となれば、まずは疑ってかかる要素はたくさんある。一般に欧米的なものの見方にコンプレックスをもつことが多い日本人は、欧米人が悩む問題を自身は本当は軽く乗り越えているにも関わらず、一周回って同じ場所までやってきて共に悩んでしまう傾向がある。そのため、多くの日本人にとっては全米のベストセラーは不要なことが多い。しかしながら、本書は、そうした文化的な側面を乗り越えた、人間存在の普遍性に迫る教訓を示しており、先進国の現代人の抱える問題に処方箋を与えようとするものである。

「箱」とは自らの発する自然な心の動きに対する裏切り、自己欺瞞のことを表しており、自己欺瞞にとらわれ、その中で外界をありのままに見られなくなった状況を「箱」に入っているという表現で表している。「箱」から出ることは、「箱」を意識することによって可能であるが、そうそう人は「箱」から自由でいることはできない。もう一つのキーワードは「人をものとして扱わず、人として接する」ことであり、これを心がけることにより、「箱」から出ることが可能となる。実際に「箱」に気づき、そこから自由になることは難しそうであるが、「箱」に入ることによるデメリットの解説は鮮やかであり、これまで長い間個人的にもやもやしていた部分がすっきりしたような気がするくらいである。

一見したところ、自分だけが「箱」から出ることは、「箱」に入ったままこちらを攻撃してくる悪意に満ちた人物との対人関係では意味がないような、損をするような印象すらある。私自身も、自分に対して意地悪な人間が失敗すると快哉を叫ぶような至らないところがあるので、当初本書の説明がしっくりこなかったところもあった。しかしながら、対人関係において「箱」に入ったもの同士は、単に敵意をぶつけ合っているだけではなく、一種の共謀関係になってしまっているという解析は非常に納得のいくものであった。自分では認めたくないことではあるが、敵対する人物が予想通り意地の悪い行為をしてくると、どことなく嬉しい気持ちすらするというのは、それが自分の予想通りで、自らの欺瞞を補強してくれる材料だからである。人はここまで自らの心地よさを追求するものなのだと改めて感心させられる。

ポジティブに建設的な人間関係を築くためには、「箱」から出ている時間を出来る限り長くしなければいけない。本書ではそれは会社の業績を高めることにつながっていくが、当然のことながら、会社の業績と言った狭い範囲ではなく、より広く社会で必要な心がけであるといえる。「情けは人のためならず」という本邦のことわざも、「箱」から出る心がけを表したものと考えることができるだろう。

「箱」は魅力的であり、一見したところその中に安住する方が省エネであり、「箱」のそとに居続けることにはエネルギーが必要であるような印象を受ける。いわゆる禅的な心境は「箱」から出た状態をできるだけ少ないエネルギーで維持する心構えになるだろう。さて、実際に心的なエネルギーに欠ける、あるいは既に対人的に大きなトラブルに巻き込まれている人は、どのように「箱」からでれば良いのだろうか。本書にはその方法は書かれていないので、やはりそうした状況に陥る前にどのようにして問題を回避するかが重要になってくるのだろう。

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