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zoom RSS 「ジャガイモのきた道‐文明・飢饉・戦争」山本紀夫

<<   作成日時 : 2008/08/25 23:13   >>

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著者は植物学をベースに民族学へとシフトした研究者であり、本書とも大きな関連があるがスペインの国際ポテトセンターにも客員研究員として所属していたという経歴をもつ。穀類中心の文明論の中で軽視されてきたジャガイモについて縦横無尽に語られる内容は大変興味深く、次へ次へという勢いで読了した。ジャガイモはアンデス原産の栽培植物であり、その伝播は種々の穀類と比べれば遙かに最近のことであるが、寒冷地を中心に瞬く間に普及し、例えばドイツ料理に見られるように現在ではたくさんの国で確固たる位置を占めている。著者はアンデスをはじめ、ヒマラヤ等で得た知見をもとに、有毒で収量も大きくなかったジャガイモの栽培化の過程を推測し、さらには将来の食糧問題解決の一助としてのジャガイモの有用性を語っている。

印象に残ったのは、アイルランドの大飢饉と、アンデスにおいて現在も見られる高度差を活かした多彩な品種の栽培の必然性についての議論であった。アイルランドではジャガイモの有用性に早くから着目し、国内の農業生産のかなりの部分をジャガイモに切り替えるのであるが、それが単一品種でかつ遺伝的にも均質度の高いものであったために、疫病により壊滅的な打撃を受ける。この飢饉がアイルランド移民につながり、ケネディ一家の歴史にも関わるところは興味深いが、単一品種、モノクローナルな栽培植物の危険性という意味でもこれほど明瞭な事例があるとは知らなかった。一方で、アンデスでは現在も高度差を活かしてバラエティに富んだ品種が栽培されている。ここでは、病虫害による壊滅的な打撃を如何に避けて、安定した収量を確保するかに努力が払われており、その効率はきわめて低い。住民は効率の低さを嘆きながらも、なかなか単一品種による大量生産には踏み切ることはない。この二つの事例は対照的であり、食料生産における多様性の重要性を明瞭に示している。栽培植物の規格化と農薬の使用は大量供給を可能にしたが、果たして将来にわたって安定した食料生産が持続できるかどうかという点では、どこかに大きな落とし穴があるのかもしれない。

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