読書の記録

アクセスカウンタ

zoom RSS 「なぜ日本人は学ばなくなったのか」齋藤孝

<<   作成日時 : 2008/06/28 00:08   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

著者は教育学、身体論の専門家であり、「声に出して読みたい日本語」の大ヒットや、三色ボールペンで一般には有名である。著者の特徴は、教育学にプラス身体論が加わっているところであり、音読や呼吸法の知識が教育論とかみ合う部分である。監修として関わっているケースも多いのであるが、ここ数年間の著書の出版量は並外れており、もし著者が大学の教員でないとしたらゴーストライターやサポートチームの存在が疑われるレベルである。その結果、対談や他人のふんどしを借りるような著作、あるいは従来の自説を薄めて広げたような著作の率が高まっている。熱心な読者もそうした状況に疑問を感じつつあるのではないだろうか。個人的なベストは「できる人はどこがちがうのか」であるが、ここでは真似る・盗む力、コメント力、段取り力についての詳しい解説があり、あこがれる力や技化の重要性も触れられている。即ち、後続の多くの著作のエッセンスが既に述べられている。最近の著作と比べてやや硬質な文体ではあるが、重要な位置づけの著作である。著者はおそらくあまりに内容が濃い著作は一般人にはむしろ響かないことを自覚したのではないだろうか。最終的に国民の教育力を引き出し、再び教育立国であった日本を再生したいという強い希望をもつ著者は、一般の読者にどのようにアクセスし、どのように素材を提供すれば良いかについて考えを巡らしたに違いない。例えば、Amazonのレビューを読んでも分かることであるが、お気楽に美味しいところだけつまみたいという「自己研鑽本中毒」の人間には、とても理解できるような内容ではない。著者はきっとそうした勘違い読者ですら自分の領域に取り込んで、少しでも学びに目覚めさせるためにはどうアプローチすべきかを考えた末、敢えて一種の乱筆をしているのではないだろうか。

さて、本書であるが、そうした「薄めた」分かりやすい「齋藤本」にいささか食傷気味である方にこそ、是非読んでいただきたい内容である。タイトルももちろんのこと、「まえがき」から飛ばしている。現代の「ノーリスペクト社会」を憂い、腹を立てている。批判を予期して煙幕を張ったりせずに、ストレートなメッセージが表されている。そして憂うだけではなく、適切な処方箋も提示されている。明瞭な方針を打ち出すことに及び腰の中教審に対して批判的な意見も臆せず書いている。著者は読書の効用について幾度も説いているが、私はこれまで現状への処方箋としては弱いのではという印象を持っていた。しかしながら、本書を読むことで、自ら静かに「考える」時間を得るためには読書ほど有用な機会はないということを改めて理解するに至った。読書こそが、手軽に、しかも高い効果のもと、考え、著者との静かな対話を行うことができる経験といえる。朝の読書運動は、こうした教育運動の中でも異例の成功を収めていると聞く。多くの日本人は読むべき本を求めており、習慣さえつけば誰もが読書家たる素質を有しているのである。

多くの若い人が本書を手に取り、さらには「できる人は・・・」で述べられていることを理解し、実践されることを期待したい。著者より若い世代は、現在の中高年世代の何とも言えない無責任さ、理想のなさに辟易しているのである。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
なぜ日本人は学ばなくなったのか (齋藤 孝)
 最近の著者が好んで使っている「あこがれにあこがれる」「心の不良債権」「私淑」「技化」といったフレーズを駆使して、現代日本の「教養崩壊状況」に警鐘を鳴らすことを試みた著作です。 (p204より引用)  ...続きを見る
OMOI-KOMI - 我流の作法 -
2009/03/14 19:23

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「なぜ日本人は学ばなくなったのか」齋藤孝 読書の記録/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる