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zoom RSS 「さらば財務省!」高橋洋一

<<   作成日時 : 2008/05/22 00:21   >>

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著者は東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業で、大蔵省の「変人枠」により入省した官僚である。大蔵省と言うところの業務内容を考えると、当然数学には長けた人間が多くて良いはずであるが、実際には法学部出身が大半であり、そのラインが人事の本線である。個人的には法学部出身の秀才が入省後に数学や経済のプロへと変貌していくものだろうと考えていたのであるが、上から下まで法学部では当たり前のことであるがそうした人材が育つはずもない。大学を卒業した状態というのは比較的フレキシブルであり、環境次第で優秀な人間は変革していくはずであるが、そうしたシステムのないところで自発的に変化することはさすがに期待できない。畑村本に新興企業で東大卒が入ってくるようになると衰退するという「法則」が述べられていたが、秀才は一般には枠組みのある場所では強いが、自ら変化を起こすことに秀でているわけではない。それにしても、何故実務的なことを数学のプロに任せないのだろうか。非常に不思議なことのように思えるが、そもそも役所に博士号を持つ人間が殆どいないことが、そもそも専門蔑視の表れなのかもしれない。ジェネラリストだけの組織というのはさすがに官僚にのみ許される形態ではないかと思う。

肝腎の中身は、非常に分かりやすい。著者にとっては当たり前のことと思われるが、論理的にも整合性があって、かつある意味で非常に割り切りの良い記述である。民主主義に対する姿勢も一貫しており、竹中平蔵がバッチを付けたわけなどもなるほどと思わせる内容である。選挙民の程度が良くならなければ良い選択は難しい、そしてそれは同じ国民として仕方がないという態度は、あまりにも潔い。情報を自ら咀嚼できず、官僚の拡声器となっているマスコミに対する批判もあるが、あくまで控えめである。世代的な問題なのか、民主主義そのものに対する懐疑はあまり伺えない。最終章では、改革をやめるか、あるいは衰退するかという、強い調子で書かれてはいるが、決して感情的ではない。読後感は爽やかであるが、果たしてどの程度文系文化が幅を利かしている官界やマスコミに届くのだろうか。おそらく分かりやすいが故に、分かりたくない人たちによって無視されたり、あるいは見当違いな反論を受けたり、誤った引用によって混乱させられたりするのではないだろうか。

いずれにせよ、ページ数を増やしてでももう少し詳しく書いて欲しいと思わせるほど、スピード感があり、展開も早い。新聞やテレビといった偏った情報源に依存している人たちは、是非にも読むべき一冊といえる。近いうちには政党の再編成も起こりそうな情勢ではあるが、いわゆる官僚出身政治家と党人的な政治家との区別などは、多くの有権者が知る必要のある事柄である。

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